滴滴の創業者でビリオネアのCheng Wei(程維)は、同社のコア事業である配車サービスへの注力を継続し、安全性の向上に向けた投資を増やしていくと述べたという。同社は事業効率の改善を前提とした、社員の勤務評定を実施し、全体の15%に相当する2000名をレイオフするという。
滴滴の広報担当者はコメントを控えた。
レイオフの実施時期はまだ明確ではないという。ただし、今回の情報をもたらした人物は、滴滴が同時に新規で2500名を雇用すると述べている。新たに雇用したメンバーらは、グローバル事業の拡大や安全面の課題の解決、さらにドライバーのマネジメントを担当するという。
滴滴は2018年12月に公開した声明で、ドライバーらに対し訓練機会を与え、業務に必要なライセンスの取得を助けていくと述べていた。
今回のレイオフは、昨年吹き荒れた一連の騒動の後に実施されることになる。2018年には、滴滴のHitch(順風車)サービスを利用した2名の女性が、レイプ殺人の被害者になった。Hitchは専業ではないアマチュアドライバーが運転するサービスで、価格も割安に設定されている。
その後、世論の強い非難を浴びた滴滴は、Hitchサービスを一時閉鎖し、ドライバーの履歴照会を強化。さらに、アプリ内に警察への通報ボタンや、家族とリアルタイムで位置情報を共有する仕組みを導入した。
滴滴の配車プラットフォームには現在、3100万名以上のドライバーが参加しており、利用者は5億5000万人に及ぶ。滴滴は海外の配車サービスのGrabやOlaなどにも出資し、最近ではブラジルの「99」を傘下に収め、グローバル化を加速させている。
ただし、現地メディアの36Krの報道によると、滴滴はドライバーの再教育や安全性向上に大規模な投資を行った結果、2018年は通期で16億ドルの損失を生んだという。
2012年に創業の滴滴は、これまで一度も黒字化を果たせていないと、同社CEOのCheng Weiは昨年のスピーチで述べた。しかし、滴滴の企業価値は560億ドル(約6.2兆円)とされており、アリババやテンセント、アップル、ソフトバンクらは合計で130億ドルを同社に出資している。
2017年12月の資金調達の際に滴滴は今後、海外事業の拡大やAI領域への投資を活発化させると宣言していた。