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Piotr Swat / Shutterstock.com

中国の「滴滴出行(Didi Chuxing)」は、配車サービスのみならず自動運転領域においても世界の最先端に立とうとしている。ハーバード大学出身の柳青(Jean Liu)が社長を務める同社の評価額は、560億ドル(約6.3兆円)とされている。

滴滴は中国で5億5000万人の登録ユーザーを抱え、一日の乗車回数は3000万件に達している。同社は海外ではオーストラリアやブラジル、日本、メキシコ、東南アジア、インドなどで現地企業と提携を結んでいる。

滴滴の従業員数は7000名に達し、その半数がプログラマーやデータサイエンティストたちだ。同社はAI(人工知能)や自動運転領域の人材獲得を積極的に進めており、「滴滴リサーチ・インスティチュート」のバイスプレジデントを務めるFengmin Gongは「次世代のテクノロジーの発展を目指し、この領域のトップ人材にアクセスしていく」と述べている。

かつてウーバーとの競争に直面した滴滴は現在、中国で独占的なポジションを築いている。ウーバーは2013年に中国に乗り込んだが、結果的に滴滴の株式の18%を取得する見返りに、中国市場から撤退した。

アリババやテンセント、アップル、ソフトバンクらは合計で130億ドルを滴滴に出資している。2017年12月の資金調達の際に滴滴は、海外事業の拡大やAI領域への投資を活発化させると宣言した。

滴滴はシリコンバレーに1カ所、北京に2カ所のAIの研究所を設置し、自然言語処理やコンピュータビジョン、ディープラーニングの研究を進めている。

膨大な量のデータを抱える滴滴はAIテクノロジーを用い、交通渋滞の解消や効率的なナビゲーションシステムの開発にあたっている。滴滴の車両から得たデータを、中国政府から得たデータと組み合わせ、「Didi Smart Transportation Brain」で解析している。これにより、AIを活用した交通マネージメントシステムを生み出そうとしている。

このテクノロジーは世界のどの都市でも活用可能な、渋滞監視システムや信号をAIで管理するスマートトラフィックシステムの開発につながる。

レイプ事件発生で、運転手のID認証を強化

さらにAR(拡張現実)を用いたナビゲーションシステムで、配車サービスの利用者が駅や大型モールなどの建物を透視して、乗車位置を確認できる仕組みの構築にも乗り出している。ドライバーに対しては、音声や動画を通じて給油や修理サービス拠点の位置を知らせるシステムを構築しようとしている。

これらのシステムの活用分野は配車サービスだけでなく、自動運転車での利用も見込める。滴滴の配車サービスは既に複数の国で利用可能になっている。

滴滴は2018年にいくつかの困難にも直面した。中国で女性客がドライバーにレイプされ殺害される事件が相次いで起きた結果、同社はドライバーを生体認証でIDチェックするシステムを導入した。また、アプリ内にはSOSボタンを設置した。

ウーバーが2016年に中国市場から撤退後、独占的な地位を築いてきた滴滴は今後、フードデリバリーサービスから配車市場に乗り込んだ「美団点評(Meituan-Dianping)」との激突を控えている。

しかし、2012年創業の滴滴が今後もこの分野のリーダーシップを握っていくことは確実だ。滴滴の成長戦略が実を結べば、アマゾンやグーグル、フェイスブックなどの西側の巨大テック企業と肩を並べる存在になるかもしれない。

編集=上田裕資

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