EIが優れている人は、感情に流されず自分自身を冷静に見て分析する習慣ができており、また他者の心の動きにも敏感で意味のない摩擦を起こすことが少ないので、ビジネスだけでなく、私生活においても、納得のいく人生を送ることができると言われています。
EIには、4つの領域と12の特性があり、そのなかでも重要な1つとして「感情の自己認識」というものがあります。では、実際にグローバル企業のトップマネジメントに携わっている人たちは、自分の感情とどうやって向き合い、冷静で客観的な自己認識を得ているのでしょうか。
日記を書くことで自分を発見する
私がGEで働いていた時に、エグゼクティブ・コーチから教えてもらった手法の1つに「ジャーナリング」というものがあります。これは文字通り、ジャーナル(日記)を書くことです。「自分はなぜそう感じるのか」を文字にすることで、自分と対話し、何が問題かを客観視し、新たな自分を発見するのです。
自分の感情と向き合うにはいろいろな方法がありますが、ジャーナリングは、自分で考えてみる自己完結型なので、忙しいリーダーに向いています。近年、グーグル社などで瞑想やマインドフルネスなどが取り入れられていますが、そこでも似たような方法が使われているようです。
やり方はとても簡単です。まず紙とペンを用意します。紙はどんなものでもいいですが、1日だけでなく、1週間、1カ月と自分の気持ちの動きを見ていくには、ノートよりも日記帳がおすすめです。持ち運ぶ利便性なども含め、ライフスタイルにあった、使いやすく続けやすいサイズのものを見つけるのも大切です。
紙とペンを前に、1人になれる場所を確保したら、自分に3つの質問をします。
1. 何があったか?
2. それによって、自らの情動にどのような変化があったか?
3. ここから自分について何がわかるか?
それぞれの質問に、1分間、思いつくままのことをどんどん書いていきます。ただし、書けないなら、書かなくてもいいです。私も最初はほとんど書けませんでした。
しかし、なぜ書けないのかを考えているうちに、大きな出来事があっても、出来事そのものに捉われて、自分や周囲がどう感じているのかに注意を払っていなかったことに気づきました。そして、しばらくジャーナリングを続けていくと、すいすい書けるようになっていきました。