そんな「切り方」について意識しながら、1月の21、21日の2日間にわたって、第2回 原宿食サミットを開催しました。食サミットの主旨は食について見直すこと。食について様々な「切り口」で考えることで、本質である食の大切さに触れ、この連載のテーマでもある「喰い改める」に機会にしたく、昨年11月に始めた取り組みです。
そもそもなぜ今やるのかというと、ご存知の通り世界中で「食の乱れ」が騒がれる中、生きることの基本となる「食」の伝承をしなければ、大切に育んできた知識が失われ、手遅れになってしまうと危機感を抱いているからです。
今回は、「衣食住 —ライフスタイルの変化」「食とデザイン ー演出」「欲 —食欲、睡眠欲、性欲」「食堂 —理想のメニューとは?」「食品ロス問題 —賞味期限切れ」「味覚教育 —五味と五感」「和食と日本食 —地方と全国・好きな味」など、全12のセッションを設け、食をテーマに44人の専門家にご登壇いただきました。
来場者は述べ230人。本やネットで情報を得ることはできますが、それをリアルな場で共有し、共に悩み、考え、そして共に食事をするほうが、未来へ伝承も、共創も、よりパワフルにできると思っています。
料理人は、世話焼き人
さて、僕の職業といえば、シェフであり料理人ですが、「料理人」はフランス語に訳すと「cuisinier(キュイジニエ)」という、二つの単語からなる造語となります。cuissonとmaitriserという単語の組み合わせなのですが、cuissonとは熱という意味、maitriserとは調整するという意味で、要するに火を調整する、熱を調整することが料理人の役割になります。
確かにヨーロッパの料理は火の種類を使い分けます。ロースト、蒸し煮、ソテー、グリエ、コンフィなど、いろんな種類の熱のアプローチがあり、さらに温度を使い分けることによって素材を加熱し、味を引き出したり、味を加えていきます。
日本的な発想である「切り方を変える」ことと、ヨーロッパ的な「熱を使い分ける」こと、どちらにも属する僕は、料理に限らず、様々なジャンルの人々と関わりながら、食にまつわる取り組みの火付け役、チャッカマンとなることが多かったりします。
料理は、漢字を見れば「理(ことわり)を料る」という意味。物事を適当に処理する、世話をするというのは料理人の性質なのかもしれません。