Close RECOMMEND

PICK UP

ASIANEWS シンガポール支局長

「レフェットリオ(Refettorio) 」創設者のマッシモ・ボットゥーラシェフ

パリのあるレストランに予約が殺到している。といっても、客として食べに行くわけではない、ボランティアの話だ。金融コンサルタントで自らの事務所を持っているというニコラスは、「急遽空きが出たというので、仕事を切り上げて来たよ。毎日のようにウェブサイトをチェックしていたんだ」と嬉しそうに語る。

人気を集めるその仕事は、レストランのサービススタッフ。そして食事客は、全員路上生活者だ。そのレストラン「レフェットリオ(Refettorio) 」の噂は以前から聞いており、一体どんなものなのだろうと興味を持っていた。

実際に確かめるチャンスが訪れたのは、今年5月のこと。筆者は新しいレストランのアワード「The World Restaurant Awards」の審査員の一人としてパリにおり、同じく審査員だったレフェットリオの創設者、マッシモ・ボットゥーラと同席した。話を聞いてみると「興味があるならパリの店に来てみればいい。今日の夕方、6時に、マドレーヌ寺院で」と、すぐに話がまとまった。

マッシモ・ボットゥーラと言えば、世界のベストレストラン50で世界一に輝いた(2016年)、イタリア・モデナの「オステリア・フランチェスカーナ」のオーナーシェフだ。

約束の時間にマドレーヌ寺院を訪れると、「ようこそ」とマッシモが陽気な笑顔で迎えてくれた。路上生活者に食事を提供する、と聞いて筆者がイメージしたのは、公園などで行われる炊き出しだが、寺院の横の入り口から「レフェットリオ」に足を踏み入れると、それとは全く違った風景が広がっていた。



室内は、温かなオレンジ色の間接照明で彩られ、レンガ造りの天井には雲をかたどった装飾が吊り下げられている。きちんとセッティングされたテーブルの上には、スタイリッシュなLEDランプ。驚く筆者にマッシモは「ここでやることは、オステリア・フランチェスカーナでやることと何も変わらない。クオリティに妥協はしない。シェフというのは、料理を通して、愛を広める活動家だと思っているからね」と語った。

レストランは毎日オープンし、昼間は一般客向けの有料レストラン、そして夜は路上生活者を対象にした無料レストランとなる。月に数回、世界中から、マッシモの友人の著名なシェフがやって来ては、この無料レストランで料理を作る。

「世界一になった後に何をするかは、とても大切なこと。有名になったことで得た信用と、賛同してくれる友人シェフたちのネットワークを使って、『料理は愛だ』ということを世界に伝えたい」

文・写真=仲山今日子

記事が気に入ったら
いいね!しよう

LIKE @Forbesjapan

Forbesjapanを
フォローしよう

FOLLOW @Forbesjapan

あなたにおすすめ

合わせて読みたい