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2019.02.22 06:00

「地頭力」をビジネスに転用するための3つの法則

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あるものを抽象化して(帰納法で思考して)遠いところに具象化する考え方をAbductionといい、これからの時代において欠かせない地頭力であることは前回紹介したとおりです。今回は、ビジネスにおいてAbductionがどういうときに使えるか、その実例からご紹介します。
 
例えば、低価格オンライン印刷サービスの「ラクスル」は、航空会社の「マイレージビジネス」を印刷に転用したサービスです。そもそも、一定のマイルがたまると無料で航空券が手に入るマイレージビジネスは、ユーザーにとって非常にお得な仕組みですが、提供者にとっては「空席が出てしまうなら、常連客に提供しよう」という、価値の差を利用したものです。

この、ユーザーと提供者の間で生じる「価値の差」こそが、このビジネスのキモであり、他業界へ転用すれば、新しいビシネスを起こせる鍵になります。
 
航空機内における空席は、固定費が高く、空いてしまうことによるロスが非常に大きいものです。そこで、同じように固定費が高く、しかも稼働していない間のロスが大きい印刷機に目をつけたのが「ラクスル」でした。

印刷機にインターネットのデータ転送の機能がついており、さらに日本くらい発達した宅配機能があれば、一定の注文に対し、印刷機の稼働を分散させることが可能になります。すると、大量の注文に対しても、空いている印刷機を使って効率よく印刷ができるので、低価格なサービスが成立したのです。
 
もう一例を挙げましょう。今ではどのオフィスや家庭でも見られるようになったカプセル型コーヒー「ネスプレッソ」も、Abductionなアイデアから生まれた商品でした。

アイデアの元になったのは、プリンタービジネスです。これはプリンター本体ではなく、交換部品(トナー)で儲けるビジネスです。ということは、交換部品が日常的に大量に発生するなら、何にでも適用できることがわかります。これをコーヒーに適用したのがネスプレッソです。
 
つまり、 Abductionのビジネスへの適用の法則は、以下の3点です。
 
1. 既存のアイデアを抽象化し、ビジネスのキモを見つける
2. ビジネスのキモを抽象化し、転用可能なアドバイスへ消化する
3. できるだけ遠く(他業界)に、転用する場を発見する
 
このように、イノベーションの先行領域を見渡しながら、どこに転用できるかを考え、新しいビジネスを作ることができるのが、Abductionの強みなのです。さらに、ラクスルやネスプレッソの例を見てもわかるように、近年業績を上げている企業は、そもそもAbduction的なアイデアの転用によって始まったものが多いのです。
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文=尾原和啓

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