ユニバーシティ・カレッジ・ロンドン(UCL)は今月、同分野に関する新調査を米国科学アカデミー紀要(PNAS)に発表した。同調査では、自分の活動が有意義なものだと信じている人の方が健康的である傾向が示されている。しかし実際は「意義のある生活が体を健康にする」というよりもはるかに複雑だろう。
同調査の研究者らは、英国老化長期研究(ELSA)に参加した7000人の中年者のデータを分析し、特に一つの質問に対する答えに関心を持った。それは「自分の生活で行うことに、どれくらい意義があると感じるか」というもので、ゼロ(全くあると思わない)から10(非常にあると思う)の間で点数をつけた。この質問に対する答えは、その後4年間の健康に関する複数の基準と相関していた。
また、自分の行う活動に意義があると感じていた人は、他者と強固な関係を持っている、より裕福、一人暮らしをしている割合が少ない、果物や野菜を食べる量が多い、運動量が多い、眠りの質が高い、社会交流やボランティア活動に多くの時間を費やしている、心や体がより健康的、などの特徴があった。
また、こうした人は自己申告の健康水準が高かっただけでなく、善玉コレステロールである高比重リポタンパク(HDL)コレステロールが高い、細身、歩く速度が速い、握力が強い、バイオマーカーであるC反応性タンパクや白血球の水準が低いなど、客観的な基準で見ても良い結果を出していた。
さらに、調査時に自分の活動を意義あるものと評価していたことは4年後、上述の変化の多くと関連していた。そのことから、前者が後者を引き起こしていると示唆されているように見えるかもしれない。
しかし現実として、同調査はただの相関関係であり、因果関係は示されていない。実はその逆で、そもそも健康であることで、より意義のある活動を求めている可能性もある。あるいは、自分の活動に意義があるという認識と健康的な活動に関わることの両方に貢献している別要素があるのかもしれない。
同調査の著者の一人であるアンドルー・ステップトーは発表の中で「私たちの経験と、人生に価値があると感じられることの間には双方向の関係があると私たちは考えている。健康的で社会的に関わりを持つ人は、自身の活動をより意義があるものと評価するかもしれない。一方、この意義があるという感覚が、多くの関わりを持つこと、心の健康の改善、孤独感を減らすことなどに貢献している可能性もある」と述べた。