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世界漫遊の放送作家が教える「旅番組の舞台裏」

日仏商会の3代目、結野多久也さんが経営するバーx床屋の「MERICAN BARBERSHOP 福岡」(Photo_Keta Tamamura)

先日、ブリュッセルの街中でバスを待っている時に、バス停の目の前でなかなかに小洒落たバーを見つけた。通りに面したガラス窓の向こうには、カウンターに腰掛けて昼からビールを飲む二人の男。さすがはビール大国ベルギーである。

店内の様子をさらに伺おうと、彼らの奥に目をやると、そこには椅子に座ってシェービングされている男の姿が見えた。これは果たして店の演出なのか、それとも別の店なのか。いろいろと考えながら再びガラス窓に視線を戻すと、そこには「Bar×Barber」の文字が。なんと、バーと床屋が併設されたお店だったのだ。

日本で「床屋」というと、どうしても昭和の臭いがして、イマイチ垢抜けないイメージが拭えない。それが、たとえパリにある「床屋」であっても、僕の印象は変わらないだろう。しかしこの「Bar×床屋」には、「床屋」のダサさはなく、「Bar」だけでは醸し出せないであろう、なんとも言えないかっこよさが漂っていた。

実は、このような「かっこいい床屋」が、ここ数年、世界中でちょっとしたトレンドになっているらしい。どうやら発祥はアメリカにあるそうだ。人気の火付け役となったのは、NBAやNFLのスーパースターたちらしい。



かれこれ10年ほど前、当時のNBAのスーパースター、アレン・アイバーソンは、試合後のロッカールームで、お抱えの「理容師=バーバー」に試合で乱れた髪をセットしてもらいながら、インタビューに答えていたという。さながら、相撲の床山といったところだろうか。

アイバーソンに限らず、NBAの選手たちにはそれぞれお抱えのバーバーがいて、選手間でのバーバーの人気投票のようなものも行われていたそうだ。スーパースターの髪型をアレンジすることで、メディアへの露出も多い人気のバーバー。その頃の日本では、ちょうど「カリスマ美容師」がもてはやされていた記憶もあるが、アメリカでは「床屋さん」が、かっこいい職業になっていたのだ。

日本の床屋文化を守りたい

そんな海外のバーバー文化について教えてくれたのが、結野多久也さんだ。アメリカのバーバー文化に憧れ、それを日本の床屋に持ち込んだ張本人である。


結野多久也さん(Photo_Keta Tamamura)

結野さんは、神戸を拠点とする美容用品の卸会社、日仏商会の3代目。以前は外資系IT企業に勤務していたが、実家の経営が傾き、結野さんのもとに創業者である祖父からのSOSが届いた。赤字の会社を継ぐのは嫌だったというが、小さい頃から自分のことを可愛がってくれた祖父の頼みは断れず、結野さんは家業を継ぐことにした。

文=鍵和田昇

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