そんな都市の代表とも言えるのが、スペインのバルセロナかもしれない。ガウディの建築やサッカーチームの「バルサ」などを通して、その名を知る人も多いと思うが、日本からの直行便は就航していない。「行ってみたいけど、気軽には行けない」という人も多いと思う。
訪れる日本人観光客が多いということもあって、直行便が飛んでいる都市には、当然、美味しい日本料理店も多数ある。しかし、日本から直行便が飛んでいなくとも、なぜかバルセロナには美味しい日本食レストランが揃っている。
ラーメン屋にうどん屋、もちろん寿司屋だってある。麺好きにとっては、ラーメン、うどんときたら、あとは蕎麦屋が揃えば言うことなしだ。そんな麺好き待望の本格的な蕎麦屋が、ようやくバルセロナにも誕生する。その仕掛け人が、今回紹介する赤坂大輔さんだ。
バルセロナの観光客は年間3000万人
赤坂さんはもともと、日本で不動産関係の会社を経営していたが、7年前にもうひとつの活動拠点をバルセロナに構えた。その理由は「既にかたちとなっているものではなく、ブルーオシャンに飛び込むビジネスがしたかった。日本での“結果ありきでビジネスを展開していくスタイル”に面白みを感じなかったから」だという。
どういうことかというと、例えばアジアやハワイに出店する日本料理屋などでは、どこかの企業が現地に出店して成功しました、それじゃあうちも進出しましょう、そんなケースが多い。赤坂さんは、そういうやり方にはまったく魅力を感じないのだそうだ。
他人の成功に追随するのではなく、けっして簡単ではないが、自分で仮説を立てて、ビジネスを展開していくのが面白いという赤坂さん。「パリやロンドンのビッグシティの次に来る都市はどこか?」という視点で、世界のトレンドを予想したとき、もともと好きな街だったというバルセロナが浮かんできたのだそうだ。
バルセロナは人口160万人。そこに年間3000万人の観光客が訪れる。日本を訪れる年間の外国人観光客が全体で2400万人。その数字を比較すると、人気の凄さがよくわかる。赤坂さんは、これだけの観光客が集まるバルセロナならば、「MADE IN JAPAN」を発信するチャンスも多いと考えた。
スペインはヨーロッパの最西端、イベリア半島に位置する。スペインからみれば、日本はまさにFar East(極東)だ。しかし、そんな遠い異国に興味を持って、多くのスペイン人がわざわざ日本を訪ねてくる現実もある。彼らには日本人や日本文化に対する尊敬の念があると感じた赤坂さんは、彼らのためにも、今度はスペインで「本当の日本文化を広めたい」という強い思いを抱いたのだ。