ワインは世界共通の通貨でありビジネスツール
──渡辺順子氏(ワインスペシャリスト、オークショニア)
「ワインはビジネスパーソンにとって必須のコミュニケーションツール」だと語るのは渡辺順子氏。2001年から2009年までNYのオークションハウス「クリスティーズ」でアジア人初のワインスぺシャリストとして活躍した経験を生かし、18年9月に『教養としてのワイン』(ダイヤモンド社)を上梓した。
「アメリカではビジネスエリートがこぞってワインを学んでいます。とくにNYでは異なるバックグラウンドの人々が一堂に会するビジネスディナーの機会が多くあり、そんなときに適切なワインを選び、話題を提供するのはビジネスマンとしての手腕が問われるポイント。またワインを人と分かち合うことで連帯意識と親近感が生まれ、互いの距離を縮めてくれるコミュニケーションツールでもあります」
そして過熱するワイン投資について、渡辺氏はその価格の高騰ぶりを目の当たりにしてきた当事者でもある。
「例えば2000年ヴィンテージのボルドー産ワイン96本セットが2003年には3万8000ドルでしたが、たった3年後に持ち主が再度出品した際は10万5000ドルまで上がりました。ワインは付加価値と稀少価値により価格が変動する唯一の商品です。また、毎年その本数が減っていくのでその稀少性も高まります。中国のワイン投資熱もまだ冷めやらず、中国元をワインに変える動きは高まる一方。その意味では、ワインは世界共通のコミュニケーションツールであり、さらに共通の通貨であるともいえますね」。
渡辺順子◎1990年に渡米。1本のシャトー・ペトリュスとの出会いをきっかけにワインの世界へ足を踏み入れ、01年~09年オークションハウス「クリスティーズ」でアジア人初ワインスペシャリストとして勤務。現在はプレミアムワイン代表として、ワインオークション文化を日本に広めるかたわら、富裕層向けワインセミナーを開催。