昨今、メディアなどで頻繁に目にするようになったSaaSという言葉。SaaSは「Software as a Service(ソフトウェア・アズ・ア・サービス)」の頭文字をとった略語で、ユーザーが必要な機能を、必要なときに、必要な分だけサービスとして利用できるようにしたソフトウェアのことを指す。
代表的なSaaS企業はCRMソリューションの「セールスフォース」やビジネス向けコミュニケーションツールの「スラック」、財務・人事管理ソリューションの「ワークデイ」などが挙げられる。
スマートキャンプが発表した「SaaS業界レポート2018」によれば、海外SaaS市場は年平均成長率約20%の勢いで成長。2014年に290億ドルだった市場規模は、2020年までに約890億ドル(10兆円弱)に拡大する見込みだという。
日本のSaaS市場もカオスマップが公開されるなど盛り上がっている印象を受けるが、海外の市場規模には程遠い。現在、年平均成長率約15%の勢いで成長しているものの、2021年の市場規模の予測は約5800億円ほどだ。
海外企業が圧倒的な存在感を誇る中で、国産SaaS企業はどのように勝負していくべきなのか。今回、SaaSスタートアップの3社が国産SaaSの飛躍について、約2時間語り合った。
対談メンバーは媒体連動型採用管理システム「HERP」を手がけるHERPの庄田一郎と、次世代型の電子薬歴システム「Musubi」を手がけるKAKEHASHIの中尾豊。モデレーターは、カスタマーサクセス管理ツール「HiCustomer」を手がけるHiCustomerの鈴木大貴が務めた。
なぜ、SaaSを始めようと思ったのか?
鈴木:いま世界全体でのSaaSの市場規模は10兆円弱。日本でも2021年には5800億円になると予想されています。ここ5年間で2倍に成長しています。僕の周りでもSaaSスタートアップを立ち上げる人が増えているように感じます。
本日は、みなさんと国産SaaS企業の可能性や課題について話したいです。まず、みなさんのサービスと創業経緯を教えていただけないでしょうか?
と、その前に自分の説明からしてしまいますね(笑)。「HiCustomer」は、SaaSをはじめとするサブスクリプション事業者を対象に、ヘルススコア管理、コミュニケーション管理、利用状況分析などの機能を備えた収益を最大化させるためのプラットフォームです。
HiCustomer 鈴木大貴
特徴は3つあります。まず1つ目は顧客の健康状態を表す「ヘルススコア」を自動で算定する点にあります。活動・利用頻度や満足度などをもとに、顧客のプロダクトとの関係性を「Good」「Normal」「Bad」といったステータスで表示することができます。
2つ目は顧客個別の利用状況を時系列で分析が可能なこと、そして3つ目は売上最大化のため、顧客に対して行うべきアクションを自動で生成できることです。これにより、従来であれば複数のサービスでなければ難しかった顧客のステータス管理から、対応施策の実行、そして効果の測定までを一気通貫ででき、解約の防止やアップセル/クロスセルに貢献できるのが強みです。