英国では慈善団体「アルコール・チェンジUK」が昨年から、この実践を呼び掛ける「ドライ・ジャニュアリー(Dry January)」運動を行っている。そして、同国のサセックス大学の研究チームは先ごろ、1カ月間の断酒を真剣に考えるべき理由を示す調査結果を公表した。
昨年1月に断酒した800人以上の参加者から得たオンライン調査への回答をまとめた結果によれば、1カ月間の断酒により、年間を通じて飲酒習慣をコントロールできるようになるだけでなく、全般的な健康においてもさまざまな恩恵を得られると考えられる。
研究チームによると、1月初めの時点での参加者は2800人以上。この時点での回答の集計をベースライン調査とした。その後の調査への回答者数は、2月第1週が1715人、8月が816人だった。
(注意すべき点として指摘されているのは、回答が全て参加者の自己申告であり、結果は参加者らが各自の変化について正確かつ正直に報告しているとの前提に立っているということだ。ただし、本調査においてはこれが唯一の現実的な評価方法だと考えられる)
調査で確認された事柄の中で最も重要な点は、1月から断酒した参加者たちの8か月後の飲酒量が、断酒前より減っていたことだ。飲酒する日数は断酒前の1週当たり平均4.3日から3.3日に減少していたほか、1日当たりの飲酒量も減ったことが報告されている。また、酔うまで飲む頻度も月当たり平均3.4回から2.1回に減少していた。
研究チームを率いた同大学のリチャード・デヴィッサー博士は、「1ヵ月断酒するというシンプルな行動が、長期的な飲酒量を減らすことに役立つ」と指摘している。
参加者たちはそのほか、以下のような断酒の効果を挙げていた。
・お金を節約できた(10人中9人)
・よく眠れるようになった(10人中7人)
・体重が減った(5人中3人)
さらに、断酒を丸1カ月間続けることができなかった参加者たちも、程度は低くなるものの、ある程度の効果を実感していたことが分かっている。
デビッサー博士は、「つまり、断酒によって生活を変えられるということだ。ドライ・ジャニュアリーを通じて自分の飲酒習慣をコントロールできるようになった人たち、その結果としてより健康になった、幸せになったと感じている人たちから毎日、報告がある」と述べている。
参加者からはそのほか、「活力が増した」「集中力が高まった」「肌の状態が改善した」などの変化が報告されている。
前述のとおり、これらの結果は全て参加者自身からの報告に基づくものだ。医療専門家が臨床的に評価したものではない。だが、断酒のプラス効果を報告した人の割合は、どの質問に対する回答でも高い割合となっていた。
過去の研究結果から、エタノール(アルコール)が私たちの身体的・精神的な健康のいずれにも影響を及ぼし、体に大きな負担をかけることが分かっている。そのため、「ドライ・ジャニュアリー」運動は理にかなったものだといえる。飲酒量をわずかに減らすだけでも、長期的にみれば大きな違いをもたらす可能性がある。