2018年にキャリアが失墜した大物12人(後編)

ポール・マナフォート(Photo by Drew Angerer/Getty Images)

役員室から法廷への転落から、突然の失脚、さらには芋づる式の失墜まで、2018年にはキャリアを完全に崩壊させる大物が相次いだ。後編となる本稿では、フォーブスが選んだ最大の転落者12人のうち、残る6人を紹介する。(順番は苗字のアルファベット順)

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ポール・マナフォート

2016年3月にトランプの選挙対策チームに加わったポール・マナフォートは、それまでにもジェラルド・フォード、ロナルド・レーガン、ジョージ・H・W・ブッシュの大統領選での選挙運動に参加した経験があった。しかし、選挙活動への関与はトランプ陣営が最後となるだろう。

2016年6月にコーリー・ルワンドウスキから選挙対策本部長を引き継いでからわずか2カ月後の8月12日、ニューヨーク・タイムズ紙は、マナフォートが前ウクライナ大統領で親ロシア派のビクトル・ヤヌコビッチの政党から顧問報酬として1270万ドル(約14億円)を受け取っていたと報じた。マナフォートは報酬受け取りを否定したが、報道の3日後、選対本部長はスティーブ・バノンに交代させられ、マナフォートはそれから間もなく選挙活動から退いた。

マナフォートは今年6月、司法妨害と証人買収の罪で起訴され、8月には8件の金融犯罪で有罪判決を受けた。マナフォートは最高で禁錮80年となる刑を軽くするためモラー特別検察官との司法取引に応じたものの、この取引は11月、マナフォートが検察側に対して繰り返し虚偽の供述をした上、弁護士が捜査官との会話内容をトランプの弁護士に共有したとの疑いが浮上したことで破談となった。

モラーの捜査チームは現在、マナフォートの追起訴を検討しているとされ、そのキャリアにはさらなる追い打ちがかけられそうだ。

レス・ムーンベス

テレビ界での有力者として数十年にわたり君臨してきたレス・ムーンベスは、『ER』や『フレンズ』といった人気ドラマの制作で重要な役割を果たした後、ここ13年間にわたってはCBSの再建に貢献した。また、#MeToo運動の支持者でもあり、2017年12月にはセクハラ防止を目的とした組織の設立にも関わったが、これは見せかけだったことが判明する。

ニューヨーカー誌は今年8月、ムーンベスからセクハラや性的暴行を受けたとされる女性6人の証言を報道。ムーンベスは9月、CEOと会長を辞任した。その後さらに複数の女性がムーンベスから性的被害を受けたと訴えたが、彼は全ての疑惑を否定した。

ムーンベスは退職金1億2000万ドル(約130億円)を受け取るものともみられていた。しかし今月、CBS役員会の弁護団は59ページに渡る報告書で、ムーンベスが自らのセクハラ行為を実際よりも小さく見せかけて退職金を確保しようと、調査妨害や証拠隠滅を行っていたと指摘。これが事実だとすれば、CBSがムーンベスに対する退職金支払いを拒否する理由になり得る。

ジョン・シュナッター

大手ピザチェーン、パパ・ジョンズの創業者ジョン・シュナッターは、2017年を絶好調な状態で迎えた。パパ・ジョンズの好調な業績から巨額の収入を得ていたほか、主に米プロフットボールNFLのスポンサー契約のおかげで米国では誰もが知る存在となっていた。しかしそれらは全て、同年11月までに崩れ去ることとなる。

シュナッターは、数カ月間に渡り売上不振が続いていたパパ・ジョンズの株価下落について、選手らによる国歌演奏時の抗議行動を容認したNFLに原因があると批判。シュナッターは同年末までに自らが創業したパパ・ジョンズのCEOを辞任したが、会長職には留まった。

そしてフォーブスは今年7月、シュナッターが5月の電話会議の際に、Nで始まる黒人に対する差別用語を使用したと報道。シュナッターは会議でこれ以上のイメージ悪化を避けるための対策について触れた際、「カーネル・サンダースは黒人をN〇〇と呼んだ」のに、KFCがその代償を払うことはなかったと発言していた。

シュナッターは報道の直後に謝罪したものの問題収拾にはいたらず、その晩彼は会長を辞任。2週間後にはパパ・ジョンズの幹部らによる自らへの待遇をめぐり、同社を相手取り訴訟を起こした。裁判は現在も続いているが、彼の名声は既に地に落ちている。
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編集=遠藤宗生

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