ビジネス

2018.12.18 07:00

勝ち組と負け組、スタートアップの二極化が進んでいく

グロービス・キャピタル・パートナーズ 高宮慎一

2018年6月、日本のスタートアップ・エコシステムを次のステージへと押し上げる、エポックメーキングな出来事があった──メルカリの上場だ。上場初日の時価総額が6760億円を記録と異例の大型上場を果たした。

日本は「マザーズ」という市場があることから、時価総額が数十億円の段階で上場可能だ。いわゆる、「スモールIPO」を目指すスタートアップが多く、それが結果的に日本からメガベンチャーを生み出せない要因のひとつになっていた。

事実、アメリカの調査機関が発表した、世界220社のユニコーンの内訳を見ると、ほとんどがアメリカもしくは中国の企業。アメリカは109社で全体の49.5%を占め、中国は59社で全体の26.8%を占めている。

日本のユニコーン企業は過去、DMM.com、メルカリ、プリファードネットワークス(PFN)の3社しかいないと言われている。

政府が閣議決定し、新たな成長戦略として掲げた目標「2023年までに20社のユニコーンを創出する」を達成するには、メルカリのような企業をどれだけ多く生み出せるか、が大事になってくるだろう。

メルカリ上場後のスタートアップ・エコシステムについて、投資家たちはどう考えているのか。今回、話を伺ったのはメルカリにも投資し、2018年のForbes JAPAN「日本版MIIDAS LIST(日本で最も影響力のある投資家ランキング)」で1位に輝いたグロービス・キャピタル・パートナーズ(GCP)の高宮慎一。

「勝ち組と負け組の格差が広がり、二極化が進んでいく」とポスト・メルカリ時代について語る高宮。彼が考えるメルカリ登場前、登場後のスタートアップ業界とは──。

インターネットの残り香と新技術の萌芽に両張りする時代がくる

1990年代に新しいテクノロジーとして投資を集めた「IT」が、どんどん小慣れて成熟化してきている。IT領域に残されたフロンティアはどこか。僕が注目しているのは「濃いコミュニティ」とインダストリー・トランスフォーメーション的に「リアルに染み出すIT」という2つの領域です。

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文=野口直希 写真=小田駿一

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