簡単に言えば、ブランドとは、製品やサービスを想起させる要素である。インターブランドによる「Brand Valuation(ブランド価値評価)」は、世界初のブランドの金銭的価値測定における世界標準として認められているもので、それに基づいてグローバルのブランド価値評価をランキングしている。
19回目となる「Best Global Brands 2018」では、アップルが6年連続で1位、2位に付けるグーグルも6年連続である。さらにアマゾンが第3位と、デジタル時代に沿った企業のブランド価値評価がなされている。同時に、業種別では、自動車関連が16ブランドと、強みを発揮している。
日本に目を向けると、7位のトヨタをトップに、20位にホンダ、40位に日産、55位にキヤノン、59位にソニー、76位にパナソニック、そして100位にスバルと、電機メーカーと自動車メーカーが二分する。
なかでもスバルは、今年初めてラインクインしたことで注目を集めた。インターブランドによれば、同社のブランドコンセプトである「安心と愉しさ」を製品に落とし込み、体験として提供できているという。具体的には、「アイサイト」や「水平対向エンジン」で安全を、スポーツブランドの「STI」で愉しさを具現化している。北米での売上の向上と存在感が増したことも、ブランドの向上につながっている。
事実として、スバルの販売台数のうち、60%以上をアメリカ市場が占める。2018年の販売台数は110万台を予測しているが、工場をフル稼働させつつ、北米インディアナ工場を拡張し、今年5月には3列シートのSUVである「アセント」の生産もスタートしている。
一方で、検査の不正問題が報道されたことで、ブランドへの信頼を欠いたことは否めない。だからこそ、「STEP」と銘打った中期経営計画を発表し、「新SUBARUづくり活動」なる組織改編にも乗り出したのだ。正直なところ、組織や経営の改革には時間を要するだけに、期待と共に見守るしかない。同時に、私たち消費者は、製品を通して、スバルというブランドを見つめるしかないのも事実だ。