2. 多様性研修の実施
ラッキーは解決策の一つとして、文化能力(異文化を理解する力)のトレーニングを提案している。これに加え、トレーニングは頻繁・継続的に実施されるべきだと提案したい。多様性研修は長期間にわたり実施されて初めて成功することが、研究から示されている。
トレーニングはマイクロアグレッションの頻度にも影響を与え、職場をより魅力的な環境にすることができる。企業の全スタッフに加え、リーダー職に従事する人々もトレーニングに参加するべきだ。
3. 多様性は数字だけではない
多様な人材を引きつけることはパズルの1ピースでしかない。多様性の問題で難しいのは、全員を包摂する文化の醸成方法を見つけることにある。
あなたは多様な人材の居場所を確保しているだろうか? 社内のチームビルディング活動も評価しよう。全員が業務外のイベントやパーティーに招待されているだろうか? 従業員同士のつながりを強化するため、企業ではどのようなことが行われているだろうか? 現在の施策を評価し、改善できるものを明確化すること。
4. 要となるのは人事部
従業員が不当な扱いを受けていると感じたとき、防御の最前線に立つのは人事部であることが多い。そのため人事部は、こうした問題に対処するための明確な計画を持っておくべきだ。寄せられた苦情は、頻繁に調査や検討をする。同じ苦情が何度も寄せられるようであれば、対処が必要だ。
ラッキーは「従業員がマイクロアグレッションについて匿名で報告できる社内システム」を作ることを提案している。これは効果的な戦略かもしれない。従業員は問題について苦情を言ったり報告したりしたい一方、自分の雇用や組織内の地位への影響を恐れているかもしれない。従業員が悪影響を気にすることなくこうした問題を報告できる匿名のシステムを取り入れることは、企業側にとってメリットとなり得る。
企業が多様な環境を作ることは重要だが、さらに大事なのは全従業員や顧客が自分の価値を認められていると感じることだ。20億人のアクティブユーザーを抱えるフェイスブックは、ここ数十年で最も革新的な企業の一つとも言える。
フェイスブック、そしてインクルーシブな環境を作ることに注力しない企業はいずれも、才能のある人材を長期的に維持するのに苦労するだろう。インクルージョン戦略に継続的に注力することによって、企業は成功し、より多くの利益を得られるようになる。