「日本の起業家ランキング」に選出されてきた、起業家の多くは上場もしくはM&Aによるイグジットなど、次なるステージへと歩みを進めている。そんなForbes JAPAN恒例の「日本の起業家ランキング」に選ばれてきた起業家たちは、いま何を考えているのか。
11月22日の発表に先立ち、4日連続で過去の選出者にまつわるコンテンツを公開する。最後に登場するのはメルカリの山田進太郎。2015年から3年連続で日本の起業家ランキング1位に輝き、殿堂入り。そして2018年6月に東証マザーズへ上場した。
山田が語る起業家ランキングの意義、そして次世代の起業家へ贈るアドバイスとは──。
海外展開は引き続き注力。日本もまだまだ成長の余地あり
──今年、東証マザーズに上場されました。創業から約5年、事業の手応え、課題をどのように感じているでしょうか?
メルカリは「新たな価値を生みだす世界的なマーケットプレイスを創る」ことをミッションに掲げ、フリマアプリ「メルカリ」を日本とアメリカ、イギリスで展開しています。
「新たな価値を生みだす」ことに関しては、この5年でそれなりの手応えを感じています。いままで家で眠っていた洋服や不要になって捨てていたモノなど、自分にとっては価値が無くなってしまったモノでも、他の誰かにとっては価値のあるものが、メルカリに多く出品されるようになりました。
実際、当社が行った調査では、フリマアプリ利用者の半数以上が「ここ2〜3年で中古品を購入する機会が増えた」「売ることを前提に新品を購入する」と回答しています。
この結果を見ると、購入時の意志決定やモノの扱い方に対して、メルカリをはじめとするフリマアプリが影響を及ぼしているのだな、と感じます。
一方、「世界的なマーケットプレイスを創る」という点については道半ば。アメリカを筆頭に海外での成功には時間を要しています。
世界中で使われるサービスになるためにはアメリカでの成功が必至と考えているので、引き続き、海外展開には注力していきたいです。
──日本市場についてはどのように捉えていますか?
日本市場もまだまだ成長の余地があります。日本の家庭に眠る不要品の総額を推計したみんなのかくれ資産調査委員会の調査結果によると、1世帯あたり約70万円、日本国内の総額は推計37兆円以上ものかくれ資産があることがわかりました。
現在、「メルカリ」のMAU(月間アクティブユーザー数)は約1100万人、年間のGMV(流通総額)は約3700億円。かくれ資産の数値と比較すると、日本には気づかれていない価値はまだ多く存在していることが分かります。
今後、より多くのお客様にメルカリを利用していただくために必要なことは、テクノロジーを活用して出品や配送部分における課題を解決すること。
例えば、本・CD・DVD・ゲームなどについているバーコードをスキャンすると、説明文やおすすめ価格出品の参考となる情報が自動で入力される「バーコード出品」機能を利用した出品によるGMV(流通総額)は、今年の5月から9月の間で5.5倍に伸びています。
今後は「世界的なテックカンパニー」を目指し、技術力を活かした新しい機能の提供などをさらに拡充していきたいと思っています。
──Forbes JAPANの「日本の起業家ランキング」に3年連続で1位に輝き、殿堂入りを果たされました。初めて選ばれたときの率直な感想を教えていただけないでしょうか?
普段、なかなか褒められることもないので選ばれたときは大変嬉しく、また純粋に光栄なことだと思いました。それと同時に、きちんと結果を出して期待に応える必要があるな、と改めて身が引き締まりました。
──「日本の起業家ランキング」に選ばれたことで事業に何か良い影響はありましたでしょうか?
格式高い賞だったので、特にエスタブリッシュな方面への認知は高まったと感じました。