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世界38カ国、800万人が愛読する経済誌の日本版

左から稲垣裕介、梅田優祐、新野良介

これからの日本を動かす起業家は誰か──Forbes JAPAN創刊時から毎年開催し、恒例企画となっている「日本の起業家ランキング」。その2019年版が11月22日に発表される。

「日本の起業家ランキング」に選出されてきた、起業家の多くは上場もしくはM&Aによるイグジットなど、次なるステージへと歩みを進めている。そんなForbes JAPAN恒例の「日本の起業家ランキング」に選ばれてきた起業家たちは、いま何を考えているのか。

11月22日の発表に先立ち、4日連続で過去の選出者にまつわるコンテンツを公開する。第3回目に登場するのはユーザベースの共同代表 稲垣裕介。2016年の起業家ランキングで4位に輝き、その年にユーザベースは東証マザーズへ上場した。

稲垣が語る、起業の難しさ、そして次世代の起業家へ贈るアドバイスとは──。


上場すると、会社は「公器」になっていく

──2016年に東証マザーズに上場されました。上場したことで事業に何か変化はありましたか?

経営に対するディシプリン(規律、統制)がより一層強くなりましたね。株主の皆さまから資金を預かった上で、甘えのないPL(損益計画書)をつくり、自分たちの戦略と数字を紐づけていく。

その意識を持つことで、「会社が社会の公器になっている」感覚を少しずつ持てるようになりました。利益を出し、会社を黒字にするために何ができるのか。上場し、市場に晒されることでより強い使命感を持って経営ができたことは良かったですね。

──「日本の起業家ランキング」に選出されて、何かポジティブな影響はありましたか?

会社のメンバー、そして前職の部下などが「本屋で見ました」と笑顔で話しかけてくれたのが、嬉しかったですね。また、海外のスタッフが「フォーブスに載ったんですよ」などとお客さまに話したことで信頼を獲得できた、ということもあったみたいです。

──御社は、アジア、そしてニューヨークへと海外展開で成功されていますが、事業を海外に広げるためにはどのような戦略が必要でしょうか?

日本のマーケットは成熟してきていますし、今後、少子高齢化が進んでいく。そうした事業環境の中で、多くの企業で海外展開は選択肢に入ってくると思いますが、海外展開はあくまでHowなので、会社のミッションや事業内容がすべてだと思います。そしてまだ「戦略として繋がっていない」「先が見えていない」状態であるならば海外展開は時期尚早だと思います。今はまだ日本で腰を据えて事業を展開するべき理由があるならば、国内のマーケットにフォーカスして事業を展開すればいいと思います。

例えば、弊社の企業・業界情報プラットフォーム「SPEEDA(スピーダ)」が5年目で海外展開を選択した理由は、会社のミッションとしても事業内容としても早期に「海外展開しなければならない必要性」があったからです。

日本のビジネスパーソンの方が「日本の有名な電機メーカーは?」と聞かれたら、ほとんどの人がいくつかの会社名を思い浮かべることができると思います。でも海外進出を1つの選択肢として戦略を考えたい企業の方が必要な情報を取ろうとしても、海外の企業・業界の情報には勘所がなかったり、現地の言葉が分からずに読み解くのに時間がかかったり、競合リストを作るだけでも膨大な時間を要してしまいます。SPEEDAのミッションとして、そんなお客様の状況を変えたかった。だからこそ、早い段階で海外展開を選択してきました。

ただ、まだ私たちも成功したと言えるような状況ではありません。アジアは今SPEEDA全体の10%の売上高比率まで来ていますが、SPEEDAの海外進出と同時期に立ち上げたNewsPicksは既にSPEEDAに匹敵する事業体に成長しています。

またニューヨークの「Quartz(クォーツ)」も買収が完了したばかりで、PMIはこれからです。海外展開を成功と入れるレベルに持っていくためには、経営メンバーが現地に渡って長期にコミットしなければ成功することは難しいと思っています。それだけのコストをかけてやる意義がなければ、海外展開を選択する必要はないと思っています。

文=松浦朋希

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