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2018.11.16 11:30

売れ残りの商品の廃棄、それはブランドを守るのか?

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今年7月、英高級ブランドのバーバリーが、2017年に売れ残った自社製品(服やアクセサリー等)、総額2860万ポンド(約42億円)相当を焼却処分していたニュースが話題となった。

バーバリーは「過剰在庫を最小限にするための慎重なプロセスを行っている」と説明し、「商品の廃棄が必要な際には責任ある方法で行っており、廃棄商品の削減とその再評価を模索し続ける」と述べた。

バーバリーに限らず、ファッション業界では売れ残り商品の焼却処分が一般的になっており、世界で年間約220億着もの繊維・ファッション製品が廃棄されている。日本国内だけでも約40億着も捨てられていると言われている。廃棄の理由は、よくわからぬ市場で安値で販売されること、つまり「ブランド棄損」を回避するためだと言われている。

果たして、本当にそれだけなのだろうか。そもそも、ブランド棄損を回避する術として本当に廃棄処分という方法が正しかったのか、それ以外の方法がなかったのか。あまり業界の課題として表では語られないテーマについて考えてみたい。

とにかく新商品を売る仕組み

私は過去に10年ほど、繊維専門商社で働いていた。その時の体験を元に考えてみると、私自身もそうだったが、過剰在庫・キャリー品(前シーズンに展開していた商品、廃盤品等)等の販売の優先度が低いことが一因として挙げられる。

メーカーや商社、通販会社等のサプライヤーに勤めている社員、特に企画・営業担当者は、常に新商品(プロパー商品)を売ることが社内の人事評価につながるため、その販売が最優先事項となる。そのため過剰在庫・キャリー品等の販売は後回しになってゆき、期末を迎えた頃には膨らんだ在庫を持って産廃業者等に駆け込まざるを得なくなる。

ただ、在庫販売の優先度が低くなるのは、“飽き”という要因もある。誰しも、同じ商品を売り続けるのは飽きるもので、新しい方へと意識と労力が向くのはある意味、人間の習性だろう。だからこそ、「在庫コントロールが得意」「定番品を多く売る」といった実績を評価するなど、組織の仕組みとして工夫が必要になるのだと思う。

廃棄こそがブランド毀損?

もうひとつ考えられるのは、大幅に原価を割る販売による業績悪化の回避策として、廃棄を選択しているということだ。原価を大幅に割った販売でも、損益計算書(PL)に計上されるため、金融機関からの借り入れ等に直接的なインパクトがある。そこで原価を割ってでも売れなかった商品は「販売」ではなく「廃棄」という手段でPLへの計上を避け、対外的な資金調達のための糧とするのである。
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文=福屋 剛

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