そうした状況を変えようと訴えるオーストラリア出身のスーパーモデル、ロビン・ローリーはこのほど、署名サイト「change. org(チェンジ・ドット・オーグ)」上でキャンペーンを開始した。VSに対するボイコット運動を呼び掛けている。
ローリーは女性たちに「WeAreAllAngels(私たちの誰もがエンジェルだ)」のハッシュタグを使い、自身の運動に参加することを求めている。また、11月8日に開催されたVSのファッションショーについても、視聴をやめるよう働きかけていた。
VSへの「通告」
VSは自社のマーケティングにおいて最も重要なものと位置付けるこのショーに毎年、多額の資金を注ぎ込んでいる。だが、同社は顧客を増やすという点において、深刻な問題を抱えている。2017年の売上高は前年の約78億ドルから5%減少、およそ74億ドルとなった。
VSの問題の深刻さをさらに明確に示しているのが、ショーの視聴率だ。2014年には過去最多となる約910万人が視聴したものの、その数は昨年、およそ500万に減少している。
同社がローリーの草の根キャンペーンからのメッセージを受け止めないとすれば、投資家や関係者らが、それを理解させることになるだろう。多くの女性たちは、VSが今も変わらず伝えようとする「女性の美しさとセクシーさ」のイメージを拒絶している。
現実との「かい離」
VSの親会社であるLブランズは、「顧客に寄り添うことで業績の改善を図ることに重点を置く」と明言している。だが、VSを批判するローリーのキャンペーンは、同社の“偽善”を浮き彫りにした。
VSの「エンジェル」と呼ばれるのにふさわしいのは、体が細すぎ、胸が大きすぎる“生きたバービー人形”だけだ。一方、VSを除いたファッション業界はますます、女性たちの実際の体形を尊重するようになっている。
ただ、それでもオーストラリアのサイズで14か16のローリーは、ファッション業界では「プラスサイズ」モデルだ。そして、ローリーは「プラス」という言葉にも拒否感を示しており、「カーヴィー」(曲線美の)という表現を支持している。
ローリーは2015年、カーヴィーモデルとして初めて、スポーツ・イラストレイテッド誌の毎年恒例の水着特集に起用された。その後もイタリア版ヴォーグやエル、コスモポリタン、 マリ・クレールなど各誌の表紙を飾っている。