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カール・ツカハラ(左)、ジェイ・ラーソン(右)

アマゾンやグーグルにとって「実験」は成功要因の一つではなく、主要因だ──。ある米企業は実験の力を信じ、そのための“武器”を広く提供したいと考えている。


突然だが、下にあるバラク・オバマ前大統領が映る2枚の画像を見比べてほしい。いずれも2008年の初当選時に使われた選挙キャンペーン用ウェブサイトのトップページである。



颯爽と現れ、「Yes we can(私たちならできる)」と有権者に訴えた若きカリスマ。自信に満ちた表情で正面を見据える写真と、妻のミシェルや子供たちに寄り添う家族写真。さて、どちらがより多くのアクセス数、そして寄付を集めただろうか?

米サンフランシスコにある実験プラットフォーム開発企業「Optimizely(オプティマイズリー)」のオフィスでそう聞かれた筆者とカメラマンは少し迷ってからオバマが一人で写る左の写真を選択した。

「残念ながら2人ともハズレです」

そう言うと、同社の最高経営責任者(CEO)のジェイ・ラーソンと、最高マーケティング責任者(CMO)のカール・ツカハラはニヤリとしたり顔をみせた。

「これが私たちの製品の特長です。多くの人がオバマ大統領の自信に満ちた写真のほうがより多くの募金を集めると思っていましたが、実際には家族写真のほうが圧倒的な差で寄付金を集めました。でも最初はどちらのほうがいいか、わかりませんよね? だからこそ、色々な人を対象に“実験”する必要があるのです」

米デジタルエクスペリエンス・オプティマイゼーション企業「Optimizely」は、元グーグル社員のダン・シローカーとピート・クーメンが10年に創業。シローカーは07年にグーグルを辞めて、オバマ上院議員(当時)の選挙キャンペーンでウェブ戦略分析とオンライン募金を担当した経験を持つ。その際にシローカーが行った「A/Bテスティング」は、資金やツールに恵まれないオバマ陣営にオンライン募金で6000万ドルをもたらした。1億ドル必要と言われる選挙資金の6割を稼ぎ出したのだ。

パターンAとパターンB、そのどちらがよりユーザーを惹きつけるか。ひいてはどれだけ売り上げを伸ばせるか―。「エクスペリメンテーション(実験)」の効果を実感したシローカーは、キャンペーン後、ビジネスの世界に「A/Bテスティング」を持ち込むことにしたのだ。

文 = 井関庸介 写真 = ラミン・ラヒミアン

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