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世界を目指す「社内発イノベーション」事例

デンソー 技術企画部 MaaS戦略室 事業開発課 担当次長 坪井聡一郎氏

「非連続なところにイノベーションが起きる、と言われますが、飛んだ発想や自社の事業領域外の提案が受け入れてもらえない状況の連続でした」

こう語るのは、前職・現職合わせて7〜8年にわたって新規事業に携わるデンソー技術企画部の坪井聡一郎氏。

シリアルイントレプレナーとして数々の新規事業を立ち上げてきた特異な存在だが、「そもそも会社に新規事業創出活動への理解がない状況から物事を進めることがすごく大変で。理解がないから伝わらない、伝わらないから共感されない、という悪循環」でもがき苦しんできたという。

イントレプレナーに必要な3要素

いざ、自身が新規事業部門に拝命されたとする。その時皆さんは何から始めるだろうか? イノベーション関連のイベントに行き、インプットしたり、近しい立場の人々と情報交換することだろうか。それとも、イノベーション支援に従事している企業へのヒアリングだろうか?(筆者の会社もそのひとつだ)

どれも間違っていないが、坪井氏に聞いてみると、「インストラクション」「アイデア」「仲間づくり」の3つを挙げた。

インストラクションについては、時間をかけて教育することが大事だという。「前職では、段階を踏んで意思決定者に対して新規事業に対する理解を深めてもらうための活動を行いました。イノベーション理論のレクチャーから、リーンスタートアップやデザインシンキングなど手法についての情報発信、外部講師を招いたセミナーなどを1年半ほど続けました。人はすぐには変わりません。言い続けることが重要なのです」と坪井氏。

しかし同時に、「何がやりたいのか」というアイデアも当然持ち合わせている必要がある。それがないとイントレプレナーとしては難しい。坪井氏に言わせると「単なるお勉強になってしまうから」だ。

そしてもう一つ、切磋琢磨してくれる仲間づくりも欠かせない。「隣にいる人や同僚が共感してくれるよう働きかけること。若い世代は比較的新しいことに前向きです。巻き込みながら熱を広げていくことが必要です」。坪井氏自身は、活動当初のメンバーが社内外の有志でなかったため、土日等の業務時間外を使い地道に進めていたという。



出会いがさらなる出会いを呼ぶ

ある新規事業を進めていたときのこと、坪井氏に試練がのしかかる。業績悪化の影響を受け、割り当てられていた予算がカットされることになったのだ。

事業部をたたむ選択を余儀なくされそうだが、会社のジャッジは「予算を割り当てることはできない。代わりに時間をあげるから好きなことをやっていい」というもの。不幸中の幸いで続けられることにはなったものの、ふと気づくと、社内向けの説明資料を作ることに明け暮れていた。

「これではイノベーションは起きない」

坪井氏は、「その頃知りたかったのは、大手企業での事業の立ち上げ方や予算がないときの活動方法、上司への説得の仕方など。ネットや本には載っていない情報でした」

文=木村忠昭

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