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世界38カ国、800万人が愛読する経済誌の日本版

駒澤大学経済学部准教授 井上智洋

2050年、私たちの生活はどうなっているのだろうか。

そんな疑問から、Forbes JAPAN 12月号では、ビジョナリーなリーダー、学者、アーティストと「未来を見通すメソッド」を探る特集「BEST VISIONARY STORIES」を実施。「暮らす」というテーマで京都大学学長の山極壽一氏、「遊ぶ」というテーマでチームラボの猪子寿之氏など、各分野の有識者に未来予想図を聞いた。

今回のテーマは「2050年の“働く”」。オックスフォード大学教授のカール・フレイとマイケル・オズボーンの研究によると、「2030年には雇用が現在の約半分になっている」という。

「いや、半分どころか、全人口の1割ほどしか働いていない社会になる」と言うのは、AIが未来の経済に与える影響を研究する駒澤大学経済学部准教授の井上智洋氏。

AIやロボットは人間の生活を楽にするのか、はたまた人間から仕事を奪ってしまうのか。2050年の雇用や働き方がどう変わっていくのか、予測してもらった。


表参道のアップルストアで講演する井上先生。

1割の人しか働かなくなる!?

──ご著書『AI時代の新・ベーシックインカム論』の中で、「2030年頃には人間の知性に匹敵する汎用AIの開発のめどが立ち、それ以降、多くの人の雇用が消滅に向かう可能性がある」と予測されていますね。

少し極端な主張ではありますが早ければ2045年頃、遅くとも2060 年頃には全人口の1割ほどの人しかまともに働いていない社会になっている。私はそう考えています。

その要因は、AIやロボット、IoTなど進歩。直接物をつくりサービスを提供するのは機械で、人間は それをマネジメントするだけ。そこにどれだけの人間が必要かと考えると……かなりの人が職を失うでしょう。

残りそうなのは、クリエイティビティ、マネジメント、そしてホスピタリティに関わる業務、その中でもAIより優れた人だけです。

──最近、そういった、いわゆる“AI失業”は起きない、という意見も多く耳にします。

そうですね。カール・フレイとマイケル・オズボーンは、AIの普及によって消滅する職業ランキングを発表しましたが、「あれは彼らの主観に過ぎない。信じるに値しない」という風潮があるようです。ある職業の、あるタスクが失われることはあっても、全タスクが失われることはないので、職業自体が消滅することはないだろうと。

しかし、それは論点が違います。「職業が消滅するかどうか」という議論は重要なポイントではなく、ある職業において「雇用が減るかどうか」が問題なんです。職業はなくならないから安心という話ではなく、雇用が9割減るとなれば、ほとんどの人が職を失うことになるのです。

文=鈴木裕子 写真=帆足宗洋(AVGVST)

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