その後、彼は自分の作物の写真を撮影し、「Plantix」というアプリにアップロードしたところ、アプリは画像認識技術を使って50種類の作物を参照し、2分以内に「水と栄養素が不足している」という全く異なる結論を導き出した。
数週間後には、Kambleの畑の唐辛子は例年通りの大きさに育った。現在、彼はPlantixを使って化学肥料の使用量を減らし、オーガニック商品としてヨーロッパに輸出することを目指している。「アプリを使い始めてから他人に頼る必要がなくなった」と彼は笑いながら話す。
Kambleのような小規模農家は世界に5億ほど存在し、食糧生産量の70%を生み出している。Plantixを運営するのは、ベルリンに本拠を置くスタートアップ「Peat」だ。同社の共同創業者兼CEOであるSimone Streyによると、同社では世界の農家が提供した画像を使って、作物の健康状態について学習しているという。
25エーカーの畑でトマトやカリフラワー、サトウキビなどを育てているSandip ShindeもPlantixのユーザーの1人だ。彼には13年もの農業経験があるが、生産量を増やす上でPlantixが提供する分析やネットワークは欠かせないという。
最近では世界最大規模の農薬企業もPlantixを使い始めている。Peatは、大手農薬メーカー「BASF」に作物認識ソフトをホワイトレーベルで提供しており、BASFはそれを自社の作物管理ソフト「Maglis」に統合している。
Maglisのユーザーの多くは大規模農家で、Peatのソフトを利用する頻度は月に約1万2000回と、インドの小規模農家を大きく上回る。Peatは、APIリスクエスト数か、Maglisアプリに実装されたPeatの利用回数に応じて料金を徴収している。