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ラスベガス発 U.S.A.スプリット通信

Natchamas / Shutterstock.com

巨人軍が本拠地とする東京ドームは、定期的に人工芝が張り替えられ、WBC(ワールド・ベースボール・クラシック)の会場に使われるなど、いまだに美しい日本を代表する球場のひとつだ。昭和63年(1988年)につくられたこのドーム球場だが、アメリカのメジャーリーグの、近年の球場建設戦略は、まるで東京ドームをめざしているように思え、誇らしい気持ちになった。

いま最新のメジャーリーグ球場は、アトランタ・ブレーブスが去年から使用しているサントラスト・パークだ。以前はアトランタ市内にあった球場から、郊外に新設された新球場へと移った。

メジャーリーグでは、ボストン・レッドソックスのフェンウェイ・パーク(1912年開場)やシカゴ・カブスのリグレー・フィールド(1914年開場)のように、駐車場が不備であろうと、あるいは商業ビルにすればはるかに効率的に儲けられるような場合でも、頑なに歴史を重んじ、昔のままを維持する球場がある。一方で、アトランタ・ブレーブスのように、メジャー最古のチームでありながら、球団創設以来、8カ所も球場を転々とするチームもある。


2017年開場のサントラスト・パーク(Katherine Welles / Shutterstock.com)

球場移転の理由は、たいていは球団経営の事情、つまりより多くの集客を求めてのことである。そして、それは、迎え入れる側の自治体の、経済効果の皮算用と利害を一致させることが必須条件となる。

アトランタ・ブレーブスのサントラスト・パークは総工費約700億円で、約半分ずつを、当該地であるアトランタ郊外のコッブ郡と球団が出し合っている。行政が出すお金は基本的に税金出動だから、その是非を巡っては大きな議論になった。

とくに、アトランタ・ブレーブスの親会社は、球場周辺に約500億円をかけてショッピングセンターやホテルをつくり、大きく収益を得ていることが、「ファンを無視した金儲け主義だ」とやり玉にあげられている。

しかし、ウォール・ストリート・ジャーナルによれば、郡が負う球場の維持費が年間約10億円であるのに対して、すでに球場周辺の再開発による税収増で、経済効果は約19億円にまで昇っているということで、地元が潤っているのも事実だ。

投資額の半分を周辺施設に

21世紀の新球場づくりは、このように球場のまわりまで含め、どれだけ集客ができるかにフォーカスされる。そのため、球場設備にかけるお金をほどほどにしないと、周辺施設(レストラン、ホテル、映画館などのエンターテインメント施設)の建設費用にお金がまわらなくなる。

新球場を建てる際に、必ずしも全天候型のドーム球場にならないというケースも多いのは、周辺施設投資に投資額の半分を取られるという事情があるからだ。ミネアポリスを本拠地とするミネソタ・ツインズなどは、約30年もドーム球場でプレーしていたのに、新球場は屋根なしに逆戻りした。ミネアポリスはとても寒いところなので、正直なところ個人的にはドーム球場のときのほうが楽しく観戦できた。

文=長野慶太

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