2012年、バラク・オバマがホワイトハウス内で醸造されているビールのレシピを公開するなど、数年前から盛り上がっている。その結果、ホームブルーイングが発展し、個人でマイクロ・ブルワリー(小規模醸造所)を立ち上げる人が増加。
「Brewer’s Association」が公開したデータによれば、米国で運営中のクラフトビールのブルワリーは2006年時点で1460社だったが、2016年には5301社まで急増。米国のクラフトビール業界は活況を呈している。
そうした中、日本のビール業界を盛り上げるべく、スタートアップと大企業のコラボによる面白いプロジェクトが始動した。その名も「HOPPIN’ GARAGE(ホッピン ガレージ)」。自分が飲みたい世界にひとつのビールをつくることができ、その特別なビールを仲間とシェアできる、というもの。
手がけるのは、「食×コミュニティ」のサービスを展開するキッチハイクと大手ビールメーカーのサッポロビールだ。両社はなぜ、このプロジェクトを始めようと思ったのか。キッチハイクの山本雅也とサッポロビールの土代裕也に話を伺った。
自分が飲みたいビールをつくれる時代に
──HOPPIN’ GARAGEの概要を教えていただけないでしょうか?
土代:HOPPIN’ GARAGEは自分が飲みたい世界にひとつのオリジナルビールをつくることができ、それをビール好きの仲間とシェアできるサービスです。具体的なスキームですが、HOPPIN’ GARAGEのサイト上からつくってみたいビールの企画書を送っていただき、企画内容を弊社が審査します。その審査を通過した企画のみ、小規模で製造します。
ただし、企画採用後、すぐに製造できるわけではありません。実現可能性などを含めて、ブリュワーと打ち合わせをした後、製造することになります。
「自分が飲みたいビールをつくれる世界にしたい」という思いから始まったプロジェクトですが、ただつくって自己満足するだけで終わってほしくない。つくったビールをビール好きの仲間にもシェアいただき、評価が聞けるところまで仕組化したい──。
ビールをつくって、シェアする世界を実現するにあたって、キッチハイクが手がけていたサービスはぴったりだと思い、お力をお借りすることにしました。
山本:昨年末、突然メールが届いて驚きました(笑)。僕自身、ビールが凄く好きなので、「どんなプロジェクトなんだろう?」と気になっていましたが、会った瞬間に分かり合えましたね。土代さんが語ってくれたビールの未来は、僕がイメージするビールの未来と限りなく一致していたんです。