ビジネス

2018.10.14 11:00

勝間和代、杉田水脈発言の核心を語る 「人間より国家が優先されている」


生産性のためにも、ダイバーシティ推進すべき

勝間:企業が多様性を高めた方がいいのは、データでもはっきり示されているんですよ。1時間あたりの労働生産性と企業の男女多様率ははっきりと正の相関を示している。属性を問わずに優秀な人を採用して、それぞれの能力を100パーセント引きだせば生産性が上がるのは、当たり前ですから。

杉山:ライフスタイルに妊娠や出産が組み込まれた女性よりも、男性の方がフィジカルなレベルで長時間働けるという意見もあります。これらもカバーしていくべきということでしょうか。

勝間:多様な人材を揃える企業は方針を細かく調節する傾向もある。長期的な環境の変化に対応しやすいという面でも、生産性が高いんです。

これまでは技術革新のおかげで、男性にしかできなかった仕事が女性や体の弱い人でもこなせるようになってきました。これからはAIやシステムの活用で人間の労働時間を減らして、男女ともに子育てに時間を取れるようにすべきです。

私は五反田でイベントスペースを開いているのですが、試験的に従業員をなくして、代わりにお客さんが素材の用意や料理、片付けをやるようにしています。なんと、それでもお店が回るんですよ。負担の元がわかると生産性が上がるし、売り上げが伸びる。

これは働く人と、労働を享受する人の境をなくす取り組みです。従業員がいると客は何もしませんが、誰もいなければ自分で行動する。従業員も休みを取りやすくなるので、質の高いサービスを提供できる。長時間労働をしなくても、結果をあげることはできる。

杉山:日本ではブラックな労働環境が成功体験と結びついてしまったせいで、生産性の低い状態が肯定されがちですよね。そのスタイルがよしとされたのは、社会全体が上向きで時間さえ経てば売上や給料が上がっていた時代の話です。

勝間:杉田さんの件もそうですが、いまマジョリティを握っている人たちは、自分たちのおかげで社会が成り立っていると考えている。しかし、世界と比べると日本の生産性は決して高くない。みんなが100%の力を発揮できるようにした方が、生産性も高まるはずです。

さらにいえば、杉田さんの発言は人権より生産性が、人間よりも国家が優先されているからこそ出てくる言葉です。私たちは、その間違った心情を変えていく必要があります。男女やLGBTに限らず、自分の持っている可能性を最大限発揮できるハッピーな社会が実現するきっかけを、ばらまき続けないといけないんです。

文=野口直希 写真=小田駿一

タグ:

ForbesBrandVoice

人気記事