ビジネス

2018.09.20

YOSHIKIとグローバリゼーション|出井伸之

クオンタムリープ代表取締役 出井伸之氏


社会的なムーブメントへの思い

彼の違った一面を見たのが、ビジネス界での顔だ。ある時、日本で開催されたセールスフォース・ドットコムのフォーラムに二人で行くと、彼は来日していたマーク・ベニオフCEOを紹介してくれた。会場からは「YOSHIKIさんと出井さんがなぜここに?」という声が聞こえた。突然でしかも意外な組み合わせと感じたのかも知れない。

こういったきっかけで繋がり、今では「IDEI-san, your friend is my friend.」とベニオフ氏は言ってくれる。

ベンチャーの育成や支援、ファンドにも興味を持っているようだ。私がアドバイスしているベンチャーも、いくつか紹介したこともある。

日本のベンチャーは、YOSHIKIさんの行動から“グローバリゼーション”を学んで欲しい。日本から世界へ進出するという考えではなく、日本はグローバルの一部ということを初めから意識してビジネスしている日本人は本当に少ないと思う。

私は彼と一緒にいる時間を通じて、世の中にイノベーションを起こしたい、社会を変えていきたいという思いを感じた。そこには、範囲や限界という言葉はない。彼の強い信念は、音楽のみならず様々な活動を通じて、日々世界中に届けられている。

音楽を通じて世界中に響かせたい

X JAPANの音楽を生で聴くコンサートは、本当に素晴らしい。音を通じて共感し、一体となることを実感できる場だ。YOSHIKIさん本人から話を聞いていることもあり、音楽を聴くたびに、音の旋律や詩の言葉を通じて、彼の伝えたい思いがより深くより強く私の心に響く。

2015年10月には、着物ブランド「YOSHIKIMONO」の初コレクションに招待してもらった。実家が呉服屋の彼は、日本の伝統文化である着物を世界に紹介したいということからブランドを立ち上げたようだ。YOSHIKIさんのピアノの生演奏とともに繰り広げられた着物のショーに、ご両親への深い愛を感じられずにはいられなかった。

国内外そして年齢男女問わず、X JAPANの音楽を通じて助けられた人は、実に多くいる。YOSHIKIさんが、“痛みをわかってくれる人”だと感じるからだろう。だからこそ、彼は「YOSHIKI FOUNDATION AMERICA」というチャリティを立ち上げ、被災支援や慈善活動を行っている。

彼は、いつでもどんな時でも、相手と真正面からとことん向き合う。その心はとても純粋で、体力の限界まで力を注ぐ。まさに、彼の生き方そのものだと思う。

X JAPANの音楽は、様々なことを乗り越えようとする人たちに寄り添っていく音だ。そして、困難の先を見据えて懸命に生きていく彼の行動や思いに共感する人は、これからも世界中で増え続けていくだろう。

The IDEI Dictionary 〜変革のレッスン〜
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監修=谷本有香 インタビュー・構成=細田知美 写真=小田駿一 取材協力=Quantum Leaps Corporation 撮影協力=Union Square Tokyo

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出井伸之氏のラストメッセージ

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