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世界漫遊の放送作家が教える「旅番組の舞台裏」

パラグライダーも楽しめるオルデニズのビーチ

イスタンブールから南へ航空機で1時間。さらに車で1時間の、地中海に面したリゾート地フェティエ。手軽にヨット遊びなどもできる、トルコ国内の知られざるリゾート地として前回のコラムでも紹介したが、フェティエの魅力は「海」だけではない。「街」にも旅の気分をかきたてる楽しみがたくさん詰まっている。

フェティエという街の歴史は、紀元前4〜5世紀にまで遡れる。かつて、この街は、ヨーロッパとアジアを繋ぐアナトリア半島を治めた、リキア同盟の中心都市として栄えた。フェティエの街を見下ろす山の中腹には、当時の王様の岩窟墓が残されている。その後、この地をめぐって、古代ギリシャやローマ帝国、ビザンチン帝国などの興亡があったが、1424年にオスマン帝国に併合されることになる。

それからもさまざまな民族がこのフェティエにやってきたのだが、その足跡は、いまもあちこちで見ることができる。なかでも有名なものが、カヤキョイだ。フェティエの街から車で30分ほどのところにある廃村だが、ここには20世紀の初頭まで、3000軒もの家が建ち並び、ギリシャ系の人々が暮らしていた。村の跡地には、彼らが祈りを捧げたギリシャ正教会の跡も残っている。

しかし、1922年にギリシャ・トルコ戦争が勃発。翌年締結されたローザンヌ条約で、トルコ領内のギリシャ人とギリシャ領内のトルコ人の住民交換が行われることになる。その住民交換によって、カヤキョイに暮らしていたギリシャ人たちはギリシャに送られ、ギリシャからやってきたトルコ人たちがこの地に移り住むことになった。

だが、ギリシャから移住したトルコ人たちは、この地の暮らしに馴染めず、去っていった。しかして、カヤキョイは世界最大級の廃墟となったのだ。

他にも、フェティエには、さまざまな時代の貴重な遺跡が多数残っている。ヨーロッパとアジアを結ぶ文明の十字路、トルコという国ならではの、多彩な歴史を肌で感じることも、フェティエの楽しみ方のひとつだ。

フェティエがあるムーラ県は、自然にも恵まれている。海の素晴らしさは前回紹介させてもらったが、その海のすぐ隣には2000メートル級の山々が連なっている。このような地形は世界的にも珍しいそうで、そのためにフェティエはスカイスポーツのメッカともなっている。世界大会の会場となるほどだが、もちろん観光客向けのアクティビティも充実している。

標高2000Mから20分の空中散歩



とくに人気なのがパラグライダーだ。僕も2度ほど、フェティエでパラグライダーを体験したが、タンデムシートの後列に座るインストラクターがすべて操縦してくれるので、まったくの初心者でも十二分に空中散歩を満喫できる。そして、その魅力は、なんといっても地中海を見下ろす大パノラマを楽しめることにある。

パラグライダーを楽しむなら、まずはオルデニズというビーチに集合することになる。そこで受付を済ませ、お世話になるインストラクターと挨拶を済ませたら、専用車に乗ってババ山を目指す。

ババ山は地中海のすぐ脇にそり立つ山で、パラグライダーの出発地点の標高は2000メートル弱もある。そこまで車で一気に駆け上がっていくのだが、さすがに2000メートルともなると、下界がいくら暑くてもかなり寒い。パラグライダー体験には、夏でも防寒対策が必須だ。

そのババ山の出発地点からインストラクターとともに飛び立ち、再びオルデニズのビーチに降り立つのがフェティエでのパラグライダー体験となる。およそ20分の空中散歩のハイライトは、オルデニズのビーチを眼下に見下ろす絶景だ。

オルデニズのビーチは、白い砂浜と緑の木々で覆われた砂州が、ターコイズブルーに輝く地中海の入江に突き出したかたちをしている。これがまた、どこからどう見ても絵になるのだ。人気のほどは推して知るべし。オルデニズを訪れるたびに、運営会社の事務所が立派になっていくのも頷ける。

もちろん、スカイスポーツ以外にも、トレッキングやジープサファリ、ラフティングなど、フェティエで楽しめるアクティヴィティはたくさんあり、長期滞在しても飽きることがない。

文=鍵和田昇

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