知られざるトルコ南岸の「魔性のリゾート」フェティエの魅力

パラグライダーも楽しめるオルデニズのビーチ


それでも幸世さんは、生まれ持った大阪人的キャラクターをもってして街に溶け込んでいったに違いない。事実、幸世さんと一緒にフェティエの街を歩いていると、実に多くの現地の人たちが彼女に声をかけてくる。僕も海外のいろいろな街を取材してきたが、ここまで現地に馴染んでいる日本人は見たことがない。

離婚を機に海外へ移住したいと考えている人もそれなりにいるのではないかと思うのだが、それを実行に移し、理想のライフスタイルを手に入れた人はなかなかいないだろう。それを実現させた幸世さんの計画力と行動力からは、学ばせてもらうことも多い。



それにしても、この移住を成功させた最大の要因は、幸世さんの人柄だと言って間違いない。街の人々に愛されているというのはもちろんだが、幸世さんとフェティエとのあいだには、ものすごい一体感があるのだ。それこそ、幸世さんがいないフェティエはフェティエじゃないという気さえしてしまうくらいだ。

恋人同士が似てきたり、ペットが飼い主と似てきたりなんて話はよく聞くが、もしかしたら街と人も似てくるのかもしれない。とにかく、よくもこれだけ自分にぴったりの街を見つけたなあと感心してしまう。

いま、幸世さんはトルココーヒー占いを勉強しているという。トルココーヒーを飲み終えた後のカップとソーサーを使って運勢をみる占いだ。トルコの人たちはこれが大好きで、僕らの滞在中も食事のたびに同行の誰かが占ってもらっていた。僕も一度占ってもらったことがあるが、食後の余興としてはなかなかに楽しい。

今後、人生の転機を迎えたら、再びフェティエに幸世さんを訪ねてトルココーヒー占いをしてもらうのも悪くないと思っている。幸世さんの占いの精度はどうであれ、穏やかな気候と穏やかな人々に囲まれたフェティエの街でゆったり過ごせば、日頃忘れがちな何かに気づかせてもらえることは間違いないだろうから。

連載 : 世界漫遊の放送作家が教える「旅番組の舞台裏」
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文=鍵和田昇

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