ビジネス

2018.09.11 07:00

ファーウェイが271企業と築く「5Gで全てがつながる世界」

北京のファーウェイR&Dセンター


あらゆる産業を5Gで接続する
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5Gによって新たに生まれるエコシステムとはどのようなものか。コネクテッドカーや遠隔診療など、ファーウェイの先端分野研究を担うのが、深センと北京に拠点をもつ「ワイヤレスX-Lab」だ。

彼らの活動をディレクター王宇峰に聞いた。ここでは遠隔運転、デジタルスカイ構想を中心に、その一部を紹介しよう。


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:X-Labは、デジタル社会の未来を見極めるセクションだ。もちろん我々にも正確な将来像はわからないが、2〜3年後に実現することをもとに、その先に実現することもある程度なら話せるだろう。

1980年代には1G(音声時代)、2000年代にはモバイルブロードバンド時代(3G)というように、パラダイムシフトは20年ごとに起きている。2020年代にはデジタル世界(5G)が訪れるはずだが、それが確実だとは言い切れない。

断言できるのは、あらゆる業界にとってこれまで以上に「通信」が重要になるということだ。あらゆる産業の構造が、垂直構造から水平構造に変化する。5Gが登場したら、それを前提とした企業がたくさん現れるだろう。5Gプラットフォームを前提とした自動車業界とか、航空業界とかだね。

具体的な話をしよう。まずは遠隔運転について。私たちがいま設計しているのは、自動車をクラウドにつなげ、その裏側でドライバーが運転するセンターだ。ここでは体が丈夫な人でなくても長距離運転者になることができる。これまでの車両は体格の大きな人になっていたが、実は細かな気配りが得意な女性の方が、大型車両の運転に向いているかもしれないね。

コネクテッドカーの未来を左右する重要な指標は、「車:人間」の割合だ。イギリスでできた原初の自動車では、1台を動かすために3人の運転者が必要だった。それ以降、いまに到るまでは1台につき1人が当たり前だね。
 


理想は「∞:1人」を実現すること。とはいえ、それは一夜では叶わないだろう。徐々にこの比率を高くするんだ。

例えば、単純なレーンなら1人で多くの台数を管理できるが、歩行者がいたりいくつもレーンがある道ではアシストが必要だろうね。そうした道に入ったら、ドライバー・センターでの操作に切り替えて人が運転するんだ。また簡単な道路に戻ったら、AIが操縦すればいい。だから、彼らのことは「運転手」ではなく「無人運転アシスタント」と呼ぶべきだろうね。

バスの場合は、さらにたくさんのアシスタントが必要だろう。乗客の安全をどうやって確保するのか。1万分の1のリスクであっても、それをカバーする手立てがなければ世に出すことはできないからね。こうしたケースを積み重ねるんだ。そのうちにアシストに必要な人数を減らせるだろう。

自動車と信号が、1つのシステムでつながる

さらに近年スタートしているのが、ITS(Intelligent Transport Systems:高度道路交通システム)だ。簡単に言えば、セルフマネジメントできる交通システムのこと。いま、私たちは中国で、都市にある全ての信号をつなげようと思っている。

信号は街の交通量全体をみて作動し、さらにそこからあらゆるデータが通知システムなどにフィードバックされるんだ。自動車は都市全体のプランニングに沿って、進む方向を決められるようになる。つまり、全ての自動車、信号が同じシステムの中で動くんだ。

これからは無人運転の物量車両や清掃車両も登場する。当然、それらもITSと接続する。場合によっては歩行者も含めた、都市で移動する全てが組み込まれたシステムになるだろう。ただ運転者をなくすだけでは、交通事情は何も解決されないからね。

実現すれば、すでに交通量が飽和している都市でも5倍以上の交通ボリュームが可能になると予想している。そうすれば彼らの移動速度は倍増するかもしれない。そんな世界を夢見ているんだ。
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文=野口直希

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