──今尾さんは夜型&激務が常識だった編集部の働き方も変えました。
女性誌の編集部ですが、かつては部員のほとんどが男性でした。徐々に女性が多くなり、私自身も含めて子どもをもつ部員も増えています。
チームの状況が変わったのに、働き方の判断軸が昔のままというのはおかしいですよね。大切なのは、「自分たちの時代」という意識をもてるかどうか。それぞれが貢献できる働き方は、ゼロベースからそこにいるみんなで決めればいい。
子どもがいる人もいない人も、多様性のあるメンバーが責任感をもってイキイキと働けるチームづくりをすること。そんな働きかた改革が同時多発に起こせれば、時代はさらに変わっていくかもしれません。
女性ばかりがギリギリなのは不自然
昨今のセクハラ問題の議論しかり、日本は男女平等に関する意識がまだまだ低すぎると思います。同じコースを夫婦で並走しているはずなのに、女性のハードルばかりが高くて、夫より何倍も頑張らなければ「脱落」や「諦め」にさらされてしまう……。そんな世の中は、やはり不自然です。
もぐらたたき的に目の前の問題をどう乗り越えるかを工夫することも大事ですが、女性の妊娠・出産に関する教育や制度改革など、根本的な課題の解決法も同時に自分事として考えていく必要があるでしょう。ただ不満をぶつけるだけでは、すぐには何も変わりません。
いますぐ私たちにできるいちばんの近道は、息子を「自分のことは自分でできる未来の夫」に育てることなのかもしれませんね(笑)。
今尾朝子◎「VERY」(光文社)編集長。「CLASSY.」にフリーライターとして参加後、光文社に入社。「STORY」編集部などを経て07年より現職。14年に第一子を出産し、働くママとして読者に寄り添う