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データサイエンティスト 風間正弘

データサイエンティストの風間正弘は、レシピのビッグデータを人工知能(AI)を使って解析することで食材同士のつながりを可視化するツール「Food Galaxy(食材の銀河)」をつくる。「食」というフィールドで、人間とAIはいかに協働することができるのか? それは、クリエイティビティの新たなる可能性を探るための試みでもある。

──料理のビッグデータ解析をしようと思ったきっかけは、どんなことだったんですか?

もともとは、2014年ころからダイエットの研究をしていました。「リバウンドしにくいメニュー」を考えていくうちに食べ物全般に関心をもつようになっていたとき、「カリフォルニアクロワッサン」を知ったんです。

これは、巻き寿司を包んだクロワッサンを醤油につけて食べる、というとても斬新な料理でした。普通なら思いつかない組み合わせだけれども、多くの人に受け入れられて、ちょっとしたブームになっている。

よく考えてみると、「生ハムメロン」も当たり前のように食べられているけれど、不思議な組み合わせですよね。突き詰めていくと、実は、私たちがまだ考えもつかない未知のレシピの可能性や、それをつくる理論や方程式があるのではないかと思ったんです。料理の可能性はまだまだあるんだな、と。

──研究はどのようにして進めていったのですか?

食材の組み合わせに関する先行研究をリサーチしたところ、「フートペアリング理論」というものがありました。これは、食材に含まれる「風味化合物」という香りの成分に着目した研究です。

このフードペアリング理論によると、共通の風味化合物をもつ食材を組み合わせるとおいしい料理ができることになる。ただしこの理論は、西洋のレシピには当てはまるけど、東洋のレシピには当てはまらないとされていました。となると、東洋の料理、特に私たちの和食は、どのようにして成立しているのかを知りたいと思ったんです。

そこで世界中の料理のレシピを集めて分析していくと、ヨーロッパ系やアメリカ系、日本系などの系統にかかわらず、あらゆるレシピはだいたい10個の食材の組み合わせからつくられていることがわかりました。

一方で、注目すべきは、世界中には10万種類以上もの食材が存在するということ。となると、レシピの可能性は無限にあると言っても過言ではありません。現に、「私たちはまだ0.000001%の料理にしか出合えていない」という説まであるのです。

もしも西洋のレシピや東洋のレシピに関係なく、あらゆる料理に共通する根源的な「おいしい組み合わせの法則」を見つけ出せたなら、もっとレシピの可能性を広げられると思いました。まだ誰も発見していない99.999999%のなかに、カリフォルニアクロワッサンのように、既存の概念では思いつきもしないような斬新なレシピが含まれているかもしれない。

私がいちばん関心をもったのは「料理の裏側にある統一的な理論とは何か?」ということでした。それを探っていく手段として、世界中のレシピや食材のデータを集め、ディープラーニングなどの機械学習手法を用いて「Food Galaxy(食材の銀河)」をつくりました。

 
レシピのビッグデータを解析することで「食材同士の相性のよさ」を提示するAIツール「Food Galaxy」。

文=吉田彩乃 写真=帆足宗洋(AVGUST)

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