本田圭佑も注目 日本から巻き起こす「コインロッカー革命」#30UNDER30

初期に立ち上げたオンデマンド収納サービスで使った収納ボックスの前に座る、工藤慎一

Forbes JAPANは、次世代を担う30歳未満のイノベーター30人を選出する特集「30 UNDER 30 JAPAN」を、8月22日からスタートしている。

「Business Entrepreneurs」カテゴリーで選出された、ecboの工藤慎一。彼は荷物一時預かりシェアリングサービス「ecbo cloak(エクボクローク)」を2017年1月にリリース。カフェや飲食店などの空きスペースにコインロッカーと同等の料金で荷物を預けられる同サービスは瞬く間に注目をあつめ、現在は全国1000店舗に導入されている。

スタートアップでありながらJR東・西日本や日本郵便との提携を実施。そんな事業の可能性に、プロサッカー選手の本田圭佑も注目し、投資を行っている。

「ウーバーを超える」と話す工藤が見つめるのは、世界500都市へのサービス展開だ。大きな野心を抱く工藤に、起業の経緯から今後の展望について話を伺った。

小学3年生、初めてやったビジネスで利益13万円

──そもそも、工藤さんが起業しようと思った経緯は何だったのでしょうか?

起業の経緯は幼少期の経験が大きく影響しています。少し昔の話をしますが、僕は1990年にマカオで生まれました。両親ともに経営者、そして祖父母、親戚の男性陣もみんな何か商売をしている。そんな環境で育ちました。

だからこそ、「経営者になること」は人生の選択肢のひとつとして、幼少期から当たり前のように頭の片隅にありました。「自分も将来、会社を経営するんだろうな」と。あとは、いつ起業するか、そのタイミングをずっと探っている感じでした。

日本に来たのは7歳、小学1年の時です。その2年後、小学3年生の時に初めてビジネスの経験をします。その経験が僕にとっては大きかったです。

──どのようなビジネスを行ったのでしょうか?

個人輸入のようなビジネスです。当時、日本で大流行していたカードゲームがあり、それは中国でも流行っていました。ある日、1つの事実に気づいたんです。日本では1枚10円のカードが中国だと1枚100円で売られていた。その価格の差で利益を出せると思ったんです。

すぐに父から1万円を借り、日本で1万円分のカードを購入。夏休みに中国に行き、そのカードを売却しました。そうしたら14万円になって手元に戻ってきた。父に借りた1万円を返して、利益は13万円。単純に、この経験は嬉しかったですね。

その後、中学・高校に進学。部活動でサッカーをやりながらも、さまざまなものを売りつづけ、「みんなに必要とされるサービスは何なのか」を考え続けていました。
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文=田中一成 写真=小田駿一

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