ビジネス

2018.08.21

予実管理領域の「負」を解消する起業家の挑戦

(左)UB Ventures代表取締役 岩澤脩、(右)DIGGLE 山本清貴

山本清貴が2016年6月に設立したDIGGLEは、予実管理業務に特化したクラウドサービスを提供。同業務の60%を占めるデータの統合、集計などの煩雑な作業時間や分析作業をテクノロジーで効率化し、企業経営におけるスピーディーな意思決定を支える。

岩澤脩が代表取締役を務めるUB Venturesは、ユーザベースが設立したB2B/SaaS、メディアスタートアップに特化したベンチャーキャピタル。18年5月に同社へ出資し、支援をしている。


岩澤:最初にお会いしたのは、2018年2月、当社設立の直後でした。ユーザベースとしても、ビジネスパーソンの生産性向上を掲げ、かつ、経営陣として経営に携わるなかで、予実管理の領域に「負」が残っていると感じていたので、絶対に支援したいと思いました。

我々の投資方針は、1. 起業家が原体験に基づいてサービスをつくっているか、2. 顧客へのバリューポジションが明確か、3. スケーラビリティがあるか。UB Venturesの第1号案件である山本さんのDIGGLE社は、それらすべてがありました。

山本:起業の経緯ですが、これまでのキャリアでの「課題」がきっかけです。前職はスタートアップの営業責任者だったのですが、例えば顧客軸、商品軸で、複数の切り口から複数のエクセルを作って予実管理をしていました。数字管理は重要ですが、ほとんどの時間をエクセルとにらめっこしている状態。これでは現場に足を運べないし、戦略策定部分にも時間が取れずによくない、と。

一方、業務系アプリケーション会社にも在籍していたのですが、予実管理システムは構築に時間がかかり、かつ、高い。「経営企画部の課題解決をしたい」がそもそもの起業の出発点だからこそ、同じ課題に取り組み、すでに上場しているユーザベースさんから、いろいろ盗みたいと出資をしていただきました。

岩澤:我々だからできる支援は、少し先を走る経験の共有。例えば、僕の失敗談にSPEEDAの海外展開の事例があります。

海外版をつくったのですが、まったく売れず、1年間を無駄にした。海外のユーザーヒアリングに執着し、「自分たちのよさ」と切り離して考えてしまった。こうした原体験を通して得てきたからこそのアドバイスは、伝えられる。
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文=山本智之 写真=平岩 享

この記事は 「Forbes JAPAN 「全員幸せ」イノベーション」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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