そんな街を歩いているとフランスの薬事情について考えてしまいますが、実はフランスは自殺率世界第3位の自殺大国。“おフランス”と言われるなど華やかで優雅なイメージもありますが、実は厳しい現実に直面しています。
フランスは週35時間労働で、年に5週間のバカンスがあります。失業保険もしっかりしていて、また情熱的な愛の国でもあるのに、なぜこんなに自殺が多いのでしょうか?
哲学思考が強く頭で考え過ぎてしまうのか? ラテン系で楽天的に見える人も、実は神経質なのか? 自殺の数は日本でも多いようですが、食と関係してるのだろうか? と考えるのは自分が食に関係する仕事だからでしょうか? 疑問が尽きません。
薬屋さんではありませんが、ニースにはハーブ屋さんが存在します。そこでは、店員さんに体調や症状などを伝えると、漢方のようにハーブを処方してくれます。専門知識のある定員さんはまるで薬剤師さんのようです。ハーブティー用の乾燥ハーブはもちろん、精油もあればコスメも販売されています。
季節の変わり目は、気候や環境の変化を受け少し情緒不安定になるものですが、こんなハーブ屋さんがあれば薬や病院に頼ることも減るのかなと思います。ただ、ニースの街中で僕が知ってるのは1軒だけ。予防医学や医食同源の考えがなかなか広がらないのはどこも同じかもしれません。
ハーブで食事は「減塩」できる
さて、季節ごとに味も香りも豊かな旬の食材を楽しみ、その時期のハーブを取り入れるのが南仏スタイルです。今の時期は特に種類が豊富で、セージや、バジル、タイム、ミント、パセリ、ローズマリー、マルジョレーヌ、バーベナ、ラベンダーなどがたくさん収穫できます。家の庭やベランダにちょっとしたポットを置いて育てれば、いつでもフレッシュハーブを使って料理ができます。
お肉と一緒に焼いたり、野菜と一緒に煮込んだり、または刻んでサラダに混ぜたり、食後のハーブティーとして楽しんだり……使い方が多様なハーブは風味や彩りを与えてくれます。
ハーブというと、香りや効能ばかりが気になりがちですが、実はハーブを使えば、減塩も可能です。もしかしたら減塩どころか、塩がなくても食材を美味しく味わうことができるようにすることもできます。
そこでポイントになるのが、この連載でも何度か紹介している「UMAMI+薬味」の組み合わせです。薬味とはハーブやスパイス、柑橘類であり、苦味や酸味を感じさせてくれる食材ですが、塩の代用というか……十分食材を美味しく味わう手伝いをしてくれます。
ちなみに塩の入っていない料理を食べると、舌や鼻は味を探そうという努力をしてくれます。そのためか咀嚼の回数も増え、消化がよくなり、ボケ防止にもつながります。でも塩が入っている(多い)料理を食べると、無条件に味が入ってくるため、咀嚼の回数が少ないまま飲み込むケースが多いです。