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I cover economics and finance.

トルコのレジェプ・タイップ・エルドアン大統領(Photo by Kayhan Ozer/Anadolu Agency/Getty Images)

トルコのレジェプ・タイップ・エルドアン大統領の就任以来、同国の通貨リラはほぼ一貫して値下がりしてきた。そしてリラは8月10日、対米ドルで急落。一時は前日比で18.5%下落した。

国の経済にとって最も重要なのは、基準通貨である米ドルと自国通貨の為替レートだ。リラの急落に伴い、トルコのインフレ率は急上昇している。筆者(ジョンズ・ホプキンス大学・応用経済学部教授)の調査によれば、トルコのインフレ率は現在、年率85%だ。トルコ当局が7月上旬に発表した最新の調査結果では、年率15.39%だった。

エルドアン大統領はこうした状況を受け、新たな経済戦略を打ち出す方針を示しているが、急ぐ必要があるだろう。実のところ、トルコが取るべき経済戦略は、すでにある。実際に効果がある戦略で、筆者はこれを「シンガポール戦略」と呼んでいる。

シンガポール戦略の5つの要素

シンガポールは1965年にマレーシアから独立した。当時のシンガポールは、発展の遅れた貧しい国だった。人種暴動も発生しており、内戦に発展する危険性もあった。1人当たり国民所得(インフレ調整後)は、現在のアルバニアやアンゴラ、アルメニア、ガイアナ、コソボ、モンゴルといった貧困国と同水準だった。

だが、シンガポールにはリー・クアンユーというリーダーがいた。建国の父である彼は、自国をいかに近代化させるかに関する明確なアイデアがあった。それが、「シンガポール戦略」だ。この戦略に含まれていたのは、次の5つの要素だ。

1. 通貨の安定

シンガポールはまず、カレンシー・ボード制を取り入れた。これは、シンプルで透明性のある、厳格な規則に基づく通貨管理制度だ。準備通貨と金の裏付けを基に、米ドルとシンガポールドルの交換レートの固定し、両国通貨の間の交換性を保証した。これらがシンガポールに対する外国企業の信頼感を高め、外資誘致の拡大につながった。

2. 外国援助の拒否

発展途上国の多くと大いに異なる点だ。途上国の大半には、非政府組織(NGO)や外国政府、世界銀行などの国際金融機関からの援助を取り付けようと画策する政治家や官僚たちが数えきれ合いほどいる。

3. “第一世界”の競争力ある民間企業を誘致

これは、適切な税制と緩い規制、完全に開かれた自由な貿易によって実現された。これらの政策によって、シンガポールは「アジアの虎」のうちの“1頭”になることができたのだ。

4. 個人の安全と公共の秩序、私有財産保護の重視

5. 透明性ある“小さな政府

煩雑さと“官僚主義”を排除したミニマリストの政府であることを確実にするため、シンガポールは最も有能な人材のみを公務員として採用し、給与面でも厚遇している。

例えば、財務大臣の年収は130万米ドル(約1億4340万円)だ。シンガポール戦略は、こうした高額の給与と引き換えに、無駄や腐敗のない、しっかりとした政府運営がなされることを要求している。

エルドアン大統領が賢明な人物なら、このシンガポール戦略を取り入れるだろう。大統領は今すぐ、これらを実行するべきだ。

編集=木内涼子

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