インドは長年、社会主義型の経済政策が残したものに苦しんできた。国内市場では大半のものが価格統制され、外国企業の進出は厳しく規制されていた。インドの競争力はかつて、パキスタンやバングラデシュと並び世界で最も低い水準にあった。
だが、モディの政策は自国がこうした古い体制から抜け出すことを助けた。外資規制を緩和し、価格統制を廃止し、起業や廃業の手続きを簡素化するなどした。そしてインド経済は現在、ますます競争力を高めている。
インドは世界経済フォーラム(WEF)が発表した2017~18年の国際競争力ランキングで137カ国中40位となり、3年前の71位から大きくランクを上げた。世界銀行が190カ国・地域を対象に行うビジネス環境ランキングの調査では昨年、「ビジネスのしやすさ」で100位となり、2016年の130位からランクアップしている。
米調査会社ギャラップが先ごろ発表した調査結果では、こうした状況を背景に、モディの国内での支持率は80%近くに達している。さらに、モディ政権下でより「自由を感じられるようになった」と答えた人は、86%に上っている。これは、過去10年間で最も高い割合だ。
幼児の栄養不足は深刻
一方、経済成長を遂げてきたインドでは、農村部を中心に食べ物の入手が困難な状況が続いている。ギャラップの調査結果によると、農村部では2015年以降、「食料品価格が高値で入手が困難だ」と報告されるようになったという。
「年明け以降、値段が高くて食品を購入できなかったことがある」と報告した人は同年、28%に上った(都市部の住民では18%)。その後、同じように答える人は増加を続け、2017年には農村部で41%、都市部で26%となった。
モディ首相の下で維持される好調な経済の一方で、子供たちは金正恩朝鮮労働党委員長が率いる北朝鮮以上に飢えている。国際食糧政策研究所(IFPRI)が毎年発表している「世界飢餓指数」に基づく最新のランキングによれば、インドの順位は119カ国・地域中100位だった。北朝鮮より7ランク下の順位だ。
飢餓指数は、幼児の栄養不良、消耗症、発育不良の割合と死亡率という4つの指標を基に割り出される。IFPRIの調査結果から分かるのはインドの、「栄養不良の幼児の割合が一貫して高いという憂慮すべき現実」だ。
ギャラップの調査によれば、2017年に自国が「繁栄している」と答えたインド人は、わずか3%だった。2014年に同様に答えた人は、14%だった。