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fboudrias / Shutterstock.com

1カ月前から噴火が続いているにもかかわらず、ハワイのキラウエア火山では死亡者が出ていない。しかし、6月3日に噴火したグアテマラのフエゴ火山では6日時点で死者数が70人を超えている。2つの噴火による被害はなぜ、こんなにも違うのだろうか。

ニュースの映像を見ると、キラウエア火山からは溶岩がゆっくりと流れ出て家や道路などを飲み込んでいるが、フエゴ火山では激しい噴火が起きている。

答えは火山形態の違いにある。キラウエア火山は傾斜が緩やかな盾状火山だ。ハワイ島を構成する火山は、太平洋の中に隠れているふもとから山頂までの距離が世界一というほどなだらかだ。

盾状火山ではマグマに含まれる二酸化ケイ素が比較的少ないため、粘性の低い玄武岩の溶岩が噴出する。玄武岩には鉄とマグネシウムが豊富に含まれており、色が濃い特徴がある。キラウエア火山では粘性の低い溶岩からガスが簡単に放出されるため、溶岩は川のように流れる。

一方で、グアテマラのフエゴ火山は成層火山で、二酸化ケイ素がより多く含まれる粘性の高い流紋岩の溶岩だ。二酸化ケイ素に加え長石が豊富で粘性が極めて高いため、溶岩に含まれるガスが放出されにくい。その結果マグマだまりの中の圧力が高まり、噴火に至る。

この場合、噴火し始めた火山では溶岩を抑え込んでいた圧力が急激に解き放たれるため、ガスが膨張する。すると溶岩の密度が低くなり、ガスがさらに膨張する。その繰り返しにより爆発的噴火が起き、噴石や火山灰、溶岩を空高く吹き飛ばす。

フエゴ火山では内部の圧力が高まって浮石や火山灰、溶岩、火山礫などが一気に噴出した。爆発的噴火が突然起きたため、対策を講じる時間もなかった。成層火山は盾状火山よりも噴火した場合に死者が出ることが多い。さらにグアテマラには急斜面が多く、降雨量も多いため、泥や岩石が流されて家を破壊し人命を危険にさらす恐れが高い。

キラウエア火山の噴火は長期にわたっているが、フエゴ火山のような爆発的噴火が起きないだけましだと言える。今回の噴火から、成層火山の活動監視やその性質を理解することが、いかに重要であるかが分かる。

編集=上田裕資

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