レバチャー(Revature)やアンデラ(Andela)などの企業は、こうした取り組みの草分けで、新米フリーランサーが成功に必要なスキルを身につけられるよう支援している。
またアフリカでは、非政府組織(NGO)がチャン・ザッカーバーグ・イニシアチブ(CZI)などの財団と官民連携でフリーランス教育支援に関わる場面も増えている。こうした新しいトレンドを踏まえた上で、私はトルコのフリーランス界の若きリーダー、ミネ・デデコチャが立ち上げたパイロットプログラムに特に関心を寄せていた。
トルコは今、テクノロジー中心地として急成長中だ。デデコチャは、人材プラットフォームの先駆的存在、イーランスオーデスク(Elance-oDesk、現アップワーク Upwork)のトルコ市場代表として評判を集めた人物だ。
彼女は、シリア内戦により難民が大量にイスタンブールに流れ込むと、テックやビジネスに精通した難民が自立する道はフリーランスにあると考えた。国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)と連絡を取り、トレーニングのための最初の資金援助と場所の提供を受けた。
こうして始まった「フリーランス101」プログラムは、次の4つの分野に注力した。
1. フリーランス業の基本(ビジネスの始め方や信用の集め方、提案書の書き方、報酬額や支払い方法の決め方など)の教授
2. プログラミング能力の評価と、自分の長所に焦点を当てたプロフィールの作成支援
3. さまざまな人材紹介サービスの使い方のトレーニングと登録
4. 個人事業家としてビジネスを開始し、フリーランスを継続的な事業にする支援
少なくとも一部の参加者にとって、このパイロットプログラムは命の恩人になったかもしれない。大学で言語学講師をしていた50代半ばのある難民男性は、家族と家を失い孤独の身だったが、フリーランス活動を通してもう一度、新たな人生を始める機会を持てた。
また、シリアの大学で経営学修士(MBA)を取得していた難民女性は、この経験を活かし、マーケティングの専門家として自己ブランドを構築。その結果マーケティング関連のフリーランスの仕事を見つけることができ、自身と幼い子どものための家と経済的自由を得ることができた。