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神戸市在住のライター。

ディスカバーリンクせとうち 代表 出原昌直

瀬戸内の港町・尾道。ここが今、デニムファッションの「発信地」として、またサイクリストの「聖地」として、内外から注目を集めている。地元の強みに付加価値をつけて、新たな需要を掘り起こす。ユニークな事業をマルチ展開する仕掛け人を直撃した。


港町の漁師が、1年間穿き続けたジーンズ。激しい労働の汗がにじみ、海の陽光に灼かれたそのデニムが、広島県尾道市では驚くなかれ、何と1本2万6800円〜4万8000円もの値段で売られている。

この「尾道デニムプロジェクト」に参加したのは、漁師に加え、市長、住職、農家、大工、保育士、ラーメン店主など、約270人の尾道市民。1人につき2本のデニムが配られ、1週間ごとにその1本を回収。専門の工場で職人が経年変化の風合いを確認しながら洗濯し、また同じ人に配布する。

1年間、その手間をかけた「尾道デニム」は、世界に一つだけの物語が詰まった「本物のユーズドデニム」だ。それゆえに圧倒的なプレミア感を放ち、デニム愛好家たちが先を競って買い求める。

このプロジェクトの中心人物が「ディスカバーリンクせとうち」代表の出原昌直だ。

尾道デニムプロジェクトは、世界的に有名なデニム・デザイナーの林芳亨のアイデアで、2013年1月にスタートした。当初はある地元企業で働く100人に穿いてもらう予定だったが、「1年穿き続けるのはちょっと……と、20人ぐらいしか希望者が集まらず、頓挫しかけたんです」。

出原が諦めかけた時、「私が町の人に声をかけてみます」と手を挙げたのが、東京から尾道に移住して間もない、ひとりの女性スタッフだった。当然、彼女には町に知り合いも少なく、一時は途方にくれた。だが、地元の有力者や同世代の若者が次々に「協力するよ」と名乗りを上げ、最終的に270人もの参加者が集まった。

「彼女の尾道に対する思いが人々を動かしたんでしょうね。参加者の方々も、同じようにそれぞれ熱い思いを抱き、無償でいいからと、協力してくれたことでプロジェクトは面白くなった。20代や30代の若者が、地元のために何かしたいと、本気で思ってくれたことが、結果につながりました」

文=大越 裕 写真=佐々木 康

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