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世界漫遊の放送作家が教える「旅番組の舞台裏」

Getty Images

空港には、その国ならではの香りが染み付いているというのは有名な話だ(と、勝手に思っている)。日本では醤油の匂いがするというし、タイに行けば独特の「タイ臭」がする。シャルル・ド・ゴール空港に降り立った時にも、「フランス臭」というのか、「シャルル・ド・ゴール臭」というのか、やはりオリジナルな匂いが漂う。

このように、それぞれの国に降り立ち、そこに漂うそれぞれの臭いを嗅いだ時に、「ああ、この国に戻ってきたんだな」などと感慨がわくことがある。そういう意味で考えれば、匂いとは記憶と非常に深く結びついているような気がする。

すっかり忘れていたつもりの人でも、たとえばシャンプーの匂いだったり、香水の匂いだったり、その人が纏う懐かしい匂いに出会うと、ふとその人のことが思い浮かんだという経験がある人も多いのではないか。

香りデータを用いて新たなサービスを

香りを嗅ぎ分ける嗅覚は、五感のひとつに数えられているが、これが意外とテクノロジーの発展が遅れている分野らしい。

そんな人間の嗅覚と香りに着目した日本の企業が、今年初頭に開かれたシリコンバレー最大級のスタートアップイベント「Startup Grind Global Conference 2018」で、80カ国のスタートアップ7万6000社の中から上位50に選ばれた。それが、アロマビットである。

アロマビットがシリコンバレーに認められた技術とは、ずばり「香りの可視化」である。匂いは通常、目には見えない。だからこれまで、匂いの判別は個人の感性に委ねられることが多く、客観的な分析は難しいものとされてきた。

そこで登場するのが、アロマビットが開発した「アロマイメージングセンサー」である。このアロマイメージングセンサーが匂いを分析し、その結果をデータ化することで、匂いの可視化を実現したのだ。

量産化可能な匂いの可視化は世界初の技術だそうで、アロマイメージングセンサーによって集めたデータは様々な用途に応用できるという。

既に利用され始めているのが、Eコマースだ。その商品がどんな香りがするのかがひと目見てわかるので、自分の好みの香りがするコーヒーや日本酒をオンライン上で選び、購入することができる。

われわれの身の回りには実に多くの香りが溢れているので、より多くの香りデータが集まれば、将来的にはグーグルで香り検索なんてことも可能にもなるそうだ。

アロマビットは、今後、食品や飲料はもちろん、日用品や家電、産業機械、IT、医療分野など、さまさまざまなジャンルの企業と組み、香りデータを用いて、新たなサービスの開発を行っていくという。それらの企業の半分が日本、他の半分が欧米企業ということだ。

文=鍵和田昇

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