「ここの従業員には、しっかりとした職業倫理、ずば抜けた創造力、好奇心、共感力がある」とフリンク。「また、皆が私たちのミッションについて、そしてチームワークの重要性について深く理解している」。そんな資質を持つ人は、どんな組織にとっても理想的な人材だろう。私はフリンクに、どうすればそうした人材を集められるのか聞いてみた。
「それは簡単。学習や注意能力での問題がある人を多く雇うことだ」とフリンク。「アイ・トゥー・アイが誇れる点は、人口の5人に1人存在する、学び方が異なる人々による、そうした人々のための組織であることだ」。彼は、笑みがこぼれ出るような声でこう語った。
自身もディスレクシア(失読症)とADHDの当事者であるフリンクは、人々の思考について何年も考えた末に、学び方の違う人々を支援すると同時に従業員として雇用するNPOを立ち上げた。
アイ・トゥー・アイのビジョンは、学習障害やADHDのある人々が、社会の中だけでなく自分自身の中で完全に受け入れられ、価値を認められ、尊重される世界を作り出すことだ。同組織は、学習障害のある中学生を、同じく学習障害のある高校生や大学生と引き合わせることで、ためらいや心配から解放し、自分ならではの強みを自ら選んだキャリアで活かす意欲を与える活動に取り組んでいる。
アイ・トゥー・アイが数十年にわたりこうした活動を行ってきたとはいえ、職場で従業員が自分の学習・注意力の問題を誇りに思い、支援体制の構築を推進する、という考え方はまだ新しいものだ。多くの人々は、支援を受ける代わりに、自分は人と違うということを職場では隠してきた。
だが状況はゆっくりながらも確実に変化している。フリンクによれば、150以上あるプログラムの一つに参加した生徒らに、自身の学習障害についてどう思うか尋ねたところ、その返答は驚くべきものだったという。「生徒らは真に誇りを持っている。『恥』は存在しない」
アイ・トゥー・アイは、自分の強みを最大限に活かし、協力して働き、職場で成功し、リーダーとなりたいと考える人々に向け、次のような素晴らしいアドバイスを与えている。
アイ・トゥー・アイが示した8つのヒント
1. それぞれの働き方について、しっかり対話をする
時間を十分に取って、周りの人々について知ること。小さなチームであっても、半年ほどかけて他の人々がどう働いているか学んでいくとよい。
どういう働き方が一番良いか、どんな時にメールを使うのか、なぜ時に対面会議が最適なのか、読み書きが苦手な人が使えるテクノロジーにはどんなものがあるか、などについて、少しずつ互いに説明し合うこと。こうして出てきたアイデアは大抵、実行するのがそれほど難しくはない。カギとなるのはコミュニケーションだ。チームとして効率的に協力し合えるようになるだろう。