なかでも代表的なのがジョージア(旧グルジア)料理。日本ではほとんど味わうことのできない未知なる味覚は、世界最古とされるジョージア・ワインとともに、この町の人たちに愛されている。
ジョージア料理で代表的なものといえば、ハーブソースでマリネしたひな鳥をオーブンで焼いた「タバカ」や、超スパイシーな仔牛のトマト煮込みスープ「ハルチョー」、チーズとタマゴを包んだジョージア風ピザ「ハチャプリ」、テントのようなユニークな形をした水餃子「ヒンカリ」など。
クリームソースを多用するマイルドなロシア料理に はない、エキゾチックで刺激的な風味が、黒海に面したジョージア産のセミスイートなワインによく合う。
楕円形の平たいパン生地にチーズやタマゴを入れたピザパンの「ハチャプリ」
ジョージア・ワインが飲まれるようになったのは、ロシアがグルジアを併合した19世紀初め頃からだといわれるが、グルジア人であるスターリンが愛好したことから、ソ連時代に普及したのだという。オーク樽やクヴェヴリという甕(かめ)で熟成する古代から伝わる醸造法が特徴だ。
有名な銘柄としては、スターリンが愛飲した「キンザ・マラウーリ」。ドライ系では「ムクザーニ」「サペラーヴィ」で、英国のチャーチル首相が絶賛したスイートワイン「キンズマラウリ」も広く知られている。白ではドライ系の「ツィナンダーリ」だろうか。
2008年の南オセチア紛争を機に関係が悪化したため、一時期、ロシアはジョージア・ワインの輸入を禁止していたが、そのときはギリシャ経由でボトリングされたものがロシアに入っていたという。現在、ロシアではフランスや南アフリカ、チリ、オーストラリアなど世界各地のワインが輸入されているが、この国の人たちにとって長い間ワインといえばジョージアなどコーカサス産のものだった。
ジョージアワインの歴史は世界最古で8000年前にさかのぼるという