ビジネス

2018.05.31 08:00

時価総額5兆円企業へ、ZOZO「PB事業」の勝算【後編】

スタートトゥデイテクノロジーズ代表取締役CIO 金山裕樹

スタートトゥデイテクノロジーズ代表取締役CIO 金山裕樹

前回では、スタートトゥデイテクノロジー発足の経緯、ファッションテック業界を取り巻く状況について伺った。後編では、ファッションテックの今後のあり方、そしてスタートトゥデイテクノロジーが目指すものについて、金山裕樹に聞いた。

なぜ、日本はファッションテック後進国なのか?

──業界全体に対する考えを伺いたいです。ファッションテックは注目が集まっているものの、新しい会社はアメリカから生まれることが多く、日本はそこまで進んでいない印象です。金山さんからは日本のファッションテック業界がどのように見えていますか?

金山:我々以外にファッションテックの会社がないことが問題だと思っています。先ほど挙げた、3つの条件を満たす会社は多分、他に1社もいない。ファッションテック企業になろうとしてる会社がいないこと、つまりチャレンジャーの不足が課題ではないかと思います。グローバルの視点で見ても、他の業界に比べてチャレンジャーが少ない印象はありますね。

──そのひとつの要因として、これまで日本のファッション業界になかなか良いエンジニアの方を集めるのが難しく、テクノロジードリブンの会社が作れないという声もよく聞きます。

金山:これはあくまで個人的な見解ですが、ファッションとITの技術は相性が悪いと思うんですよね。

もちろんファッション自体にも技術はありますが、ファッションって少しずるい(笑)。一瞬で成果が出てしまうんですよ。例えば、僕がいまスーツに着替えて椅子に座っただけで、ファッションの力を享受できてしまう。スーツを着るだけで普段よりもしっかりとした人間に見えますよね。

誤解を恐れずに言うと、そのくらいファッションは容易いんですよ。もし僕が大きめジャージにアディダスのスニーカーを履いてラジカセを背負ったら、絶対にヒップホップが好きな人だと思うじゃないですか。

その反面、プログラミングなどの技術は容易くない。工夫を重ね、頭を使って投資をしないと得られないものです。一方は着替えるだけで効能が得られてしまい、もう一方は本当に地道な1人での戦い。正反対の特徴をもっているため、理解するのが難しいんです。だから人材交流が進んでこなかったのではないでしょうか。
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構成=大崎真澄 写真=小田駿一

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