ビジネス

2018.05.28

グローバル経営者が大切にしている「リーダーシップ」3つの極意

サシン・N・シャーメットライフ生命 会長 社長/在日米国商工会議所会頭


憧れの人からもらった珠玉のことば

スポーツといえば、先日、私はとても素晴らしいリーダー論を学んだばかりです。実は憧れの王貞治さんにお会いする機会がありました。彼はこんなことをおっしゃっていた。

読売ジャイアンツの監督時代、とても不調で悩んでいた時期があったんだそうです。そして、試合に負けたとき、選手がミスをしたとき、彼は決まって選手たちを怒っていたと。時に、罵声を浴びせることさえあったそうです。結果的に、選手たちとも仲が悪くなってしまい、ますます勝てなくなってしまった。

しかし、福岡ソフトバンクホークスの監督になって、気づいたそうです。「1位になるまでに、1年に50試合まで負けることができるじゃないか」と。それから、毎シーズンのはじめ、選手たちにミスも負けることも許されるんだと伝えるようにしたそうです。選手が監督の顔色をうかがって失敗を恐れないよう、伸び伸びプレーできるようにした結果、選手たちが活躍できるようになったというのです。

私はこの話を王さんから聞いたとき、心から納得しました。グッと胸に刺さりました。それは私自身が野球をやっていたこともありますし、経営者、つまりリーダーとしての経験者でもあったからです。これは、私にとって人生最高の授業となりました。

成功者になりたい、リーダーになりたいという人はたくさんいます。そんな人たちはついプレッシャーと戦ってしまいがち。確かに人生やキャリアは戦いの連続かもしれません。しかし、勝ち続けることだけが正しいわけではないのです。肩の力を抜いて、柔軟に。それが成功への道筋が見えるきっかけに気づかせてくれるかもしれないのです。


サシン・N・シャー◎メットライフ生命保険株式会社 代表執行役会長 社長 最高経営責任者。米国スティーブンス・インスティテュート・オブ・テクノロジー卒。1999年メットライフ入社、アメリカン・ライフ・インシュアランス・カンパニーリージョナル専務執行役員、メットライフアリコ代表執行役専務最高執行責任者などを経て、2013年8月から現職。

写真=藤井さおり

この記事は 「Forbes JAPAN 「富を生み出す人」の秘密」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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