─どんな変化を起こしていくのか。
いま、お客様はアドバイス、ツール、診断、薬への早期アクセスを求めています。しかし、それは保険の適用範囲外です。けれど、これが保険会社に本当に求められるものならば、提供していく必要がある。ですから私たちはいま、疾病予防から、早期発見、セカンドオピニオンサービス、受診手配・紹介サービス、疾病後のケアなどをお客様に提供するため、そうしたサービスを専門とする企業に協力してもらっています。
また、これらのサービスに加え、給付金をスマートフォンのアプリによって簡単に請求できることも可能にしました。恐らく、これらは今後、保険のコアになっていくでしょう。つまり、私たちは「商品」ではなく「解決策」を売る会社なのです。これは保険業界にとっても大きな変化だと思います。
─リーダーとして、大事にしているモットーは?
3つあります。一つ目は、「柔軟であること」。これこそが、私がここまでこられた理由でもあります。
私はインドで生まれ、家族とともに幼少期にアメリカに移りました。そしてイタリア人が多く住む地区に住んでいたのですが、これが私にとって重要な経験となりました。複数の文化を得たことで、いろいろな人や考えがあっていいのだと学んだんです。さらに、アイディアの着想は、凝り固まった一つのところから生まれるのではなく、柔軟さの中から出てくるのだということを体感 しました。
二つ目は「努力」です。父はアメリカに移住したときに、ポケットに入れていた、たった17ドルを握りしめ一生懸命働いてきた。その結果、私たち兄弟は成功し、健康に幸せに暮らすことができている。努力なしに成功はありえない。Easy money or Easy successなのです。私は運なんてちっとも信じていません。なぜなら努力が幸運や成功を呼ぶのを目の当たりにしてきたからです。
三つ目は「スポーツと教育」です。アメリカ移住後、イタリア人地区にいたとき、私は明らかに異質でした。肌の色、話す言語、食事。それを幼少期の私自身も感じていました。しかし、小さいころから続けてきた野球をしていたときだけは、皆と同じだと感じることができたんです。また教育もそうでした。スポーツと教育は、世界どこにいても共通言語なのです。つまり、スポーツや教育が、人と人を公平につなげる接着剤の役割になる、イコライザー(平等化するもの)となるのです。