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I write about consumer issues, the workplace and fraud

2018年5月1日、メーデーに行われた抗議デモ(Photo by Drew Angerer/Getty Images)

米国の中間層が消えつつあるということに関して疑念を持つという人は、企業の最高経営責任者(CEO)と一般従業員の賃金の格差を確認してみればいい。1950年代には20倍程度だったその差は、昨年にはおよそ361倍に広がっていたことが明らかになった。

米労働総同盟産別会議(AFL-CIO)が5月22日に公表した「Executive Paywatch(エグゼクティブ・ペイウォッチ)」によると、S&P500種株価指数を構成する企業のCEOの報酬(中央値)は昨年、前年比6%増の1394万ドル(約15億3900万円)に上った。一方、生産部門の一般従業員の年収(同)は、わずか3万8613ドル(約425万円)だった。

AFL-CIOの発表に関連して何か良いニュースがあるとすれば、企業には金融規制改革法(ドッド・フランク法)に基づき、2017年分からCEOと一般従業員の年収の差を開示することが義務付けられたということだ。それらのデータは、CEOたちが受け取る報酬がどれほど制御不能なものになっているかを示している。インフレ調整後の一般従業員の年収は、50年以上変わっていないのだ。

AFL-CIOが公表したデータからは、以下の点も明らかになった。

CEOの報酬に男女間の格差もあることが分かったのは、「ナビスコ」の菓子を手掛けるモンデリーズ・インターナショナルだ。米証券取引委員会によると、女性の前CEOのアイリーン・ローゼンフェルドは昨年、一般従業員の年収の403倍となる1730万ドルの報酬を受け取った。一方、昨年就任した新CEOのディルク・バン・デ・プットは4240万ドル以上を受け取った。一般従業員とは989倍以上の差があったことになる。

また、S&P500企業のうち、CEOと一般従業員の年収の格差が最も大きかったのは、玩具メーカー大手のマテルだ。マレーシアの製造部門で働く従業員の年収は、6271ドル。CEOの年収は、その4987倍だった。

著名投資家ウォーレン・バフェットが率いるバークシャー・ハサウェイのCEOと従業員の年収の差は、S&P500企業の中で最も低い2対1だった(バフェットの根強い人気を説明するものかもしれない)。

消費者に嫌われる原因

金融情報サイトのマーケットウォッチによると、多くの人たちが最もいら立ちを感じるのは、仮に自社が経営破綻したり、公的資金(税金)による救済措置を受けたりしても、あるいは不正行為によって何百万ドルもの罰金を支払うことになっても、CEOが多くの場合、報酬の全額とボーナス、「ゴールデン・パラシュート」(他社に買収された場合の高額の退職金)を受け取るということだ。

米公共放送PBSが放送したある番組によれば、CEOと従業員の報酬の大幅な格差は、その企業に対する「消費者の嫌悪感を増す大きな要因」だ。番組内で紹介されたハーバード・ビジネス・スクールのオンライン調査の結果によると、米国の消費者はタオルからテレビまでのあらゆる製品について、たとえ高額でも、CEOと従業員の年収の差が比較的少ない企業の製品を購入したいと考えているという。

報酬に関して協議する次の会議で、この点について検討してみたいと考えるCEOもいるかもしれない。

編集=木内涼子

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