ビジネス

2018.05.12 11:30

アマゾンの「低利益率」、心配する必要がないわけ

Ken Wolter / Shutterstock.com

Ken Wolter / Shutterstock.com

アマゾンはその事業分野の多くにおいて、営業利益率の面ではどの企業とどのように比べても、精彩を欠いているように見える。直近の決算で大幅な増益を発表した米百貨店大手メイシーズの営業利益率は、わずかながら6%を上回る。一方、アマゾンはクラウドサービスのアマゾン・ウェブ・サービス(AWS)を除けば、やっと2%に近づいているという程度だ。

アマゾンについて特に気掛かりな点といえるのは、配送コストとフルフィルメントコストの増大だ。同社の規模の大きさを考えれば、配送量が増えることは利益拡大につながっていると思う人もいるかもしれない。だが、それは間違いだ。物流コストは同社の利益を上回るスピードで増え続けている。

ただし、これはそれほど驚くべきことでもない。アマゾンの会員制プログラム、アマゾンプライムは基本的に、頻繁に注文する少額の商品の購入に「無料」の配送サービスを何度も使ってもらおうというものだ。そして、こうしたサービスは一般的に、利益が少ない(または出ない)。また、アマゾンが行っている同日中の配送から得られる利益は、現在の規模では極めて限定的なものとなる。そのほか、アマゾンの衣料品販売は売上高を伸ばしているものの、返品や交換が増えることで、サプライチェーンコストを増大させている。

アマゾンは長期的な視点に基づき、多額の投資を行っている。同社が利益を増やす方法はいくつもあるだろう。だが、ウォール街は明らかに、利益以上に成長を評価する。同社は短期的な利益を増やすことよりも、市場シェアの拡大を優先している。

ただ、こうした背景がある中でも、アマゾンが重視するものはわずかに変化してきているようだ。物流コストの増大という強い逆風を受けながらも大幅な増益が実現されたことは、製品利益率と物流業務以外の営業費用の双方に、大幅なてこ入れがされ始めたということだ。
次ページ > 利益率は「いつでも上げられる」

編集=木内涼子

タグ:

advertisement

ForbesBrandVoice

人気記事