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地方創生のキーマン

和歌山県立日高附属中学校の新井先生(左)と生徒たち

近年、地域活性化の手法としてクラウドファンディングに注目が集まっている。クラウドファンディングといえば、達成金額が数千万円を超えるような新商品開発のプロジェクトが話題になったりすることも多いが、本質はそれとは少し違うところにあるように思う。

実は、クラウドファンディングは地域活性化との相性がとてもいい。少額の支援と一緒に各自の志を積み上げることで、地域の人たちも関係者として巻き込み、地域の想いを集約したプロジェクトをつくることができるからだ。

クラウドファンディングという言葉としては最近になって耳にするようになってきたものだが、このようなものは昔から受け継がれて来ている。町や村のお祭りはだいたい、その地域の企業がたくさん協賛して成り立っているものだ。

過去に遡れば、和歌山県にある世界遺産でもある「高野山」を創設した空海は、涓塵(けんじん)の重要性を語っている。涓塵とは、ごく僅かなお布施を、たくさんの人から集めること。まさに現代でいうところのクラウドファンディングである。この空海の思想は、開創から1200年以上経ったいまでも、高野山で受け継がれている。

60万円の目標に53万円の調達

地域活性化としてのクラウドファンディング。その重要性は昔から注目されていたが、昨年面白い動きが起きている。学校教育としての、クラウドファンディングの活用だ。

和歌山県立日高附属中学校では、1年生と2年生は地域学習として、近隣の農家やお店などに取材して、地域の魅力を知ることに努めた。3年生では、その集大成として、実際に地域の商品を売って広めるところまでやりたいと考えたという。発案者の新井先生は次のように語る。

「大阪のイオンモールで販売ブースをつくらせてもらえることになりましたが、交通費やチラシ代、ブースでの衣装代など、さまざまなお金が必要になりました。一般的には、保護者の方からお金を出していただくのかもしれませんが、この地域の魅力を発信することですし、地域の人たちにも協力してもらいたい。また子供たちがお金について学ぶ機会にもなるのではと、クラウドファンディングをやろうと考えました」

結果的には、60万円の目標に対して53万円と、惜しくも達成はできなかったが(達成しなくても資金調達できる「AII in」という方法だった)、中学校の総合学習として行った、日本初のクラウドファンディングとなった。



学校からは心配の声も上がった

実は、このクラウドファンディングを立ち上げるために、私も少しお手伝いをさせていただいた。私自身も代表としてクラウドファンディングを数回立ち上げた経験があり、30回ほど他の同様のプロジェクトに関わったこともある。そのノウハウをもとに講義とワークショップを行い、皆と一緒にプロジェクトの文章やリターンを考えた。

それがメンバー全員の手書きメッセージが書いてある寄せ書きであり、3000円の支援でもらえるリターンだった。

文=小幡和輝

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